ゲップさん!
先日「国籍」について書きました。その際に、22歳で日本国籍を選択した後も「名前の問題」などがあるために外国籍を放棄することが中々難しい、ということを書きました。
「名前」といえば、今日タイムリーにこんな記事がジャパン・タイムズにアップされています。
写真の4人のドイツ人女性。彼女達は、それぞれ日本人と結婚をし、現在深刻な「名前に関するトラブル」を抱えているのですね。
読んでいてビックリしました。
内容を簡単に要約すると、ドイツのパスポートには、現在の苗字が例えばWagner-Kuboであっても、その横に「旧姓」を入れるのですね。そして旧姓を記載する際に、旧姓の前にGEB.と入れます。このGEB.はドイツ語のGEBORENEの省略で、英語のBorn asにあたるのですね。日本語でいうと「~として生まれる」(つまり旧姓)という意味です。
それが、2年前に日本で外国人が「在留カード」を持つようになってから、日本の政府はナントこのGEBを「名前の一部」として「在留カード」に記載してしまっているのです。
以下の写真をご覧ください↓
皆さん、ピンと来ないかもしれませんが、これは、いわば、日本の公式な書類にたとえば、「氏名 田中一郎」と記載されているものを、外国の政府や役所が、「氏名」も名前の一部だと勘違いして、Shimei Tanaka Ichiroというふうに記載してしまうようなものです。この場合、ShimeiがTanakaの他に苗字の一部になってしまっているのですね。これ、おかしいですよね?日本の在留カードに、ドイツ語のGEB.(~として生まれる、の意味)をあたかも名前の一部であるかのように書かれてしまっていることで、けっきょく在留カードの名前が、他の公式な書類及びクレジットカードの名前等と噛み合わなくなり、この女性達はとても困っているそうです。
あとは、GEBを見て、多くの日本人が「ゲップさんですね?」と言うのも本当に嫌だとか。だって、ゲップですよ、ゲップ!
この奇妙な現象を廃止するために既に動き出しているようですが、
その運動のサイトの名前も、
Mind the GEB・ゲップ廃止なのですね。
私も応援したいと思います。
それにしても思うのは、ハーフのみならず、「国をまたいで生活をしている人」は、ほんっっっとうに大変だな、ということ。名前ひとつをとっても、どこに「落とし穴」があるのか、分かったものではありません。
今後国をまたいで生活する人が、ヘンテコな名前になってしまったり、それによって困ったりしないためにも、それぞれの国の政府にも「国際感覚」を身につけてほしい、と願うばかりです。
サンドラ・ヘフェリン
※追記(9月10日に追記)
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写真のドイツのパスポートと、日本の在留カードを見て、追加で何点か発見してしまいました。以下(とくに2番と3番)は、あくまでも私の意見です。誤解をしないでいただきたいのですが、日本側(国)のみに否があるのではなく、他国で誤解を受けてしまうような名前の書き方をしてしまうドイツ側(国)にも否はあると思います。でも・・・一番の被害者は、やはり両方の国(日本とドイツ)から「規則」を理由に今の状態のまま放置され、日常生活に困っているこの女性達なのではないでしょうか。さて私の疑問点ですが以下をご覧ください。
1)
在留カードで名前GABRIELEを改行している件。⇒⇒⇒日本語に日本語の文法があるように、ローマ字にもローマ字の文法があります。名前が長いからといって、GABRIELEという名前を途中で勝手に改行することは本来、ローマ字の文法上、認められていません。ローマ字の文法では、単語や名前の途中で勝手に改行はできません。そのため改行をする際は、本当は単語や名前(この場合はGABRIELE)全体を次の行(ぎょう)にもってくる必要があります。どうしても単語(名前)の途中で改行しなければならない場合は、改行の際にもルールがあるので、ハイフン(-)をつけてから改行しなければいけません。そういう「文法の面」でもこの在留カードには問題があるように思うのですが、いかがでしょうか。日本語の分からない外国人が、たとえば「一つの漢字」なのに、「さんずい」(氵)の横に物凄い大きなスペースを空けてしまうのと同じぐらい奇妙な話だと個人的には思います。もしかしたら、日本の政府は「日本の在留カードだから、ローマ字の文法など関係ない」という考え方なのでしょうか・・・?
2)
在留カードに、ハイフン(-)が記載されていない件⇒⇒⇒そもそもこちらの女性達の問題は、国(日本)の「パスポートの『氏名』の欄に書かれている名前を、そのままソックリ在留カードに記載しなければいけない」という規則があるため発生しているようですが、そこまで「ソックリそのままであること」にこだわるのであれば、ドイツのパスポートに記載されているハイフン(-)もキチンと在留カードに記載すべきだと私は思います。このコラムの真ん中にある写真をご覧いただくと分かりますが、ドイツのパスポートにはWAGNER-KUBOというふうに名前の間にハイフン(-)が記載されているのにもかかわらず、在留カードではWAGNER KUBOというハイフン無しの形になっています。
3)
在留カードに点(.)が記載されていない件⇒⇒⇒なお、こちらに関しても上記の写真をご覧いただきたいのですが、ドイツのパスポートにはGEB.というふうに点(.)がついているのにもかかわらず、在留カードではGEBというふうに点無しで記載されています。在留カードに点が無いことから、この「ゲップ」が「省略」であることさえ分からなくなってしまっており、更に「名前の一部」だと勘違いされてしまう要因になっていると思います。
コメント
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う~ん、こういう記載の仕方、変ですよ。周りの外国人で、名前の記載が変わってしまって就職試験を受けれなかった人もいました。
うちは夫婦別姓にしているのと、在留カードを持っているのが旦那さんなのと、日本名がないので特にトラブルはありませんでした。
ゲップもそうですが、余計なものは一切付けずに、本名ならば日本名でも外国名でも、普段書いている通りに書けばそれでしまいですよね!?少なくとも在留カードは身分証明のためのものなので、それが身分を証明できないものになってしまうと意味がないのです ><11:50 PM Jannat -
Jannatさん、
コメントありがとうございます。ほんとうに記載の仕方、変ですよね。ドイツのパスポートの記載の仕方も変だと思いますし、日本の在留カードの記載の仕方はもっと変だと思います。
それからJannatさんが書いていた
>周りの外国人で、名前の記載が変わってしまって就職試験を受けれなかった人もいました。
↑っていうの、理不尽ですよね。。どういうふうに記載が変わってしまったのですか?
>少なくとも在留カードは身分証明のためのものなので、それが身分を証明できないものになってしまうと意味がないのです ><
↑おっしゃる通りです!こういうのが早く改善されるといいですね。★サンドラ★5:13 PM サンドラ・ヘフェリン -
被害女性達、GEB.をせめて英語で書けなかったですか?
日本人が外国の書類に漢字・ひらがなを使わないのと同じ事だと思うんですが。
ちょっとした申告エラーのような感じを受けました。それにしても、役所は本当に修正してくれないんですか?
サンドラさんの気になられた点も、申請の際、もしくは受取りの際にご本人が言うべきだったと思います。
煩わしいことが多そうですが、身分証明はきちんとしないと後が大変ですね。5:33 PM Riko -
Rikoさん、
ご投稿ありがとうございます。
リンクを全部読まれましたか?これは「本人(被害者のドイツ人の女性達)」が役所に「英語で書いてください」と言って解決する問題ではないのですよ。そのあたり、少し簡単に考え過ぎていませんか?そういうことが一切できないからこそ、彼女達は困ってマスコミでこの話を公表したわけです。
Rikoさんのおっしゃる「本人がその場で言うべき」というのはごもっともだと思いますが、各国の役所もその国の法律や規定があるので、それに応えない(または応えられない)こともあるんですよね。だからこそ、今回の女性達のようなことが起きるわけなんです。
ちょっと気になったのは、「彼女達が役所で申請の際にその場で言えばよかった」とか「彼女達が英語で書くべきだった」と、なんだかんだで「本人の責任」にしてませんか?これは本人が英語で書けば英語で載せてくれる、という話ではないことをご理解ください。★サンドラ★5:06 PM サンドラ・ヘフェリン -
私は日本で生活をする上で支障がない、という理由で日本名(母方)の名字を使っていますが、その国によって名字を使いわける(たとえば、父方の祖国では父方の名字で通すが、母方の国では母方の名字を使う)のっていけないことなのでしょうか?
個人的にはその国の名字でない名字を使うといろいろ不利なことが多いので、もし使い分けられる名字があったらその名字を使ったほうがいいと思います。
名字に限らず、名前を日本名にする(一部の方は通名と言っていますよね)事でその人が犯罪を起こしやすくなる、と思っている人が多いのですが、それは何に基づいて言っているのですか?と聞きたくなります。6:08 PM Maria -
Mariaさん、
コメントありがとうございます。
さて
>私は日本で生活をする上で支障がない、という理由で日本名(母方)の名字を使っていますが、その国によって名字を使いわける(たとえば、父方の祖国では父方の名字で通すが、母方の国では母方の名字を使う)のっていけないことなのでしょうか?
個人的にはその国の名字でない名字を使うといろいろ不利なことが多いので、もし使い分けられる名字があったらその名字を使ったほうがいいと思います。
↑という点ですが、「ハーフ」の場合はそういう選択肢もありますが、コラムの話は「日本人男性と結婚したドイツ人女性」の話なので、そういう選択肢は無いんですよね。
いずれにしてもハーフや国際結婚をする人達のこういった名前の問題、早く改善されるといいですよね。★サンドラ★5:18 PM サンドラ・ヘフェリン -
名前の件、おかしくもあり大変でもありますね。
またまた私の知り合いの話になりますが、その方は日本国籍で英国国籍の方と結婚し、2人の間にはお子さんが2人います。お子さんはどちらも日本生まれですが、英語名です。ここで大きな問題が起こるのです。
2人ともれっきとした英語名をもっているのですが、日本のパスポートにはローマ字表記をしなければならず、本来ならL(エル)であるはずのところが、R(アール)で綴られているのです。なので、正しい綴りの英語表記の書類は、日本では「名前が間違っている」ということで受け付けてもらえないのだそうです。例えて言うなら、MICHAEL ではダメで、MAIKERU と書かなければならないということです。
これではとてもではありませんが、本人の証明にはなりませんね。
10:08 PM SKM -
SKMさん、
お話を書いて下さってありがとうございます!
書かれていた名前の話、よくわかります。実は前にヘボン式について書いた事がありますので、よければお時間ある時にでも読んでみてくださいね。
欧米の名前のスペルが日本のパスポートでヘンテコになっているケース、残念ながら(とくに年齢が上のハーフの場合は)よくあります。ThomasがTomasuになってしまったり、Christian TakeshiがKurisutianTakeshi になってしまったり。ただここ何年かは、そういう問題は減ってきているようです。ヘボン式の綴りが義務ではなくなったので、昔はドイツ語の名前Juliaがヘボン式の関係で日本のパスポートではYuriaになってしまったりしていましたが、今は親がJuliaと書くように申請時に気をつければ大丈夫みたいですね。★サンドラ★5:26 PM サンドラ・ヘフェリン -
サンドラさん。ご丁寧にご指摘ありがとうございました。名前のローマ字表記に関する記事を拝見いたしました。
私の知り合いが、しばらく前に「子供たちの名前を正しい英語のつづりに書き換えられるようになったらしい」と言っていましたが、このことだったのですね。
日本国籍者と英国国籍者の間に生まれた子供には、日本語名を付けた方が手続きが簡単かもしれませんね。例えば、日本では「としこ」と登録し、英国では Toshiko(あだ名は Tosh とか!)としておくと、日本で大きな問題を起こすことはないと思いますが、いかがなものでしょうか・・・?
1:45 AM SKM -
SKMさん、
こちらこそコメントありがとうございます!
さてご質問の件ですが、「日本名のみ」というのも、外国に住む場合は本人が不便な思いをする事が少なくないですね。たとえば「理紗」(Lisa)や安奈(Anna)のような、日本でも外国でも通用する名前なら苦労は少ないですが、例えばToshikoの場合は、欧州の名前はナントカkoや、ナントカcoという名前は「男の子」だと見なされてしまう事が多いので苦労が多いです。マルコだとか、フランチェスコ、だとか、「男の子の名前に『コ』がつく」ことが欧州では多いので、女性が『コ』のつく名前だと、欧米の国だと誤解されることが多いのですね。また「愛」(Ai)など、日本語だとかわいいけれど、ドイツ語だとパッと聞いた時に「卵」だと思われてしまうような名前もありますしね。やはり両方の国で誤解を受けない名前(理紗とか安奈とか)をつけるか、または、どちらの国に行っても違和感無いように、二つの名前(有希子Andreaみたいに)をつけるのが「溶け込む」という意味では大事かと思います。実際に二つの名前をハーフの子供につけている親は多いです。現に私も日本の名前とドイツの名前の二つがありますしね。これも親が「どちらの国でも『地元の人』として通用するように」とつけてくれた名前です。★サンドラ★11:09 AM サンドラ・ヘフェリン -
名前って一番間違ってはならないものだと思うのですが、国の仕事でもこのようなことがあるんですね。
一昨年前のことなので、細かいことは覚えていないのですが、
夫の住民票(だったと思う)の苗字のスペルが間違っていたことがありました。
さらに、本人確認のため「姓と名の間に他にもアルファベットがありますよね?」みたいなこと言われて、ミドルネームかな?と思い、それを伝えると「いえ、それではなくもっと別の…」って言われて、???。
結局、コンピュータのデータを移したときの役所の人的ミスで変なアルファベットが紛れ込んでいたようで。
わざわざ自宅までいらして謝罪されました。
今思えば、その在留カードなどの関係でデータを新規に入れなおしたりしたのかもしれませんね。地方でも。
アルファベットなので、間違いになかなか気づかなかったのかな。
数年前に「消えた年金」がニュースになりましたが、データの管理が下手なのかずさんなのか、間違いに気づいたときに早急に対応してほしいです。9:29 PM JM -
JMさん、
コメントありがとうございます。それは大変な思いをされましたね。そういえば、友達のお父さんは「ベルリン」生まれなのに昔の日本の役所で手書きで「ベルン」生まれだと書かれてしまい、生まれた国や町まで違ってしまったことがありました。さて、今回のこの「ゲップ問題」ですが、ドイツ側の役所はドイツの法律に基いて(ドイツ側の法律とは、つまり婚姻前の昔の名前も、パスポートの名前の欄に記載しなければならない、というドイツの法律)動いていて、同時に日本側は日本の法律(在留カードには、外国のパスポートの氏名の欄に書かれている全てのローマ字を書き込む)に基いて動いているため、けっきょく困るのは、その狭間に経たされている人達(上記の彼女達のような)だということですね。こういう「間」に立たされた「個人」が一番困るんですよね。
さて、これはJMさんに対してだけではなく、皆さんへもお願いしたいのですが、もしこの「ゲップ問題廃止」にご賛同いただける場合は、ぜひこちらのリンクの右側の「今すぐ賛同」に必要事項を書き込んで、支援してあげてくださいね。私自身もサインさせていただきました~★サンドラ★10:59 AM サンドラ・ヘフェリン -
名前問題、本当にややこしいですよね。私はドイツ在住でドイツ人の配偶者と日独ハーフの2人の子供を持つ母です。
子供達の名前に関しては悩みに悩み抜き、ドイツ語のファーストネーム、日本語のミドルネームをつけたのですが、日本大使館に出生届を出す際に、ミドルネームは登録出来ないのでどちらかを選ぶか、2つをくっつけて書かなければならず、ため息が出ました。2つの名前の間に点もスペースも許されず、「変だよ〜」と思いながらもつながった名前で登録しました。無いよりは在る方が問題が少ないかと思いましたので。
ヘボン式のつづりがおかしいのもいろいろつっこみたいのですが、結局はカタカナで日本人が読めるようにするためのtranscriptionということで納得するしかないでしょうかね。
前にロンドンに住んでた時、母が送ってくれた荷物に「Rondon」と書いてあって「すごいちゃんと届いたよ!」って笑っちゃったのですが、母は間違ったんじゃなくて実はヘボン式で書いていたのかしら?
5:08 AM A -
Aさん
ドイツ人の元夫との間に子供が3人おります。長男は旧国籍法下で誕生、翌年から改正国籍法が施行されることがわかっていたため、長男誕生まで入籍を見送りました。
長男はまずドイツで私生児として出生届を出しましたが、日本語でひとつながりのダブルネームで申請し受理されました。
その後、入籍、元夫が長男を認知、当時のドイツ民法典の規定は日本民法とは異なり、認知は、子供の出生時点に遡及して有効となるため、長男は、出生時点にさかのぼってドイツ国籍も取得しました。
その後、私の姓の変更届を出し(非ヘボン式表記の申請)、長男のパスポートの名前も、スペース入りのダブルネーム表記です。
次男もドイツで誕生、同様にダブルネームです。
日本で誕生した長女は、トリプルネームですが、パスポートの表記は、すべてスペース入りです。
ただ、パスポートの更新手続きで東京都庁を訪れた時、窓口の担当官に、スペース入り表記を拒否されたことが、一度だけ、ありました。
根拠となる法律/命令等を開示してほしいと頼みましたが、それもなし。日本人なら名前は一つだ、とかたくなに言い張るばかり、らちがあかず、その日は退散しました。その翌日、大手町のパスポートセンターでは、何の問題なく、スペース入り表記で、パスポートを更新することができました。
ご参考まで。
11:01 PM Flughörnchen -
この度、ドイツから日本に引っ越すことになりました。
GEB問題は私にも降りかかってきました。
パスポートに貼られたビザにはしっかりGEBが記載されてしまっているのです。
在日ドイツ大使館でGEB記載のないパスポートを貰えるのでしょうか?
あるいはそれ以外の対策をしてもらえることを期待できるでしょうか?
日本の銀行口座はGEBなしで開設できるでしょうか?
不安でいっぱいです。1:40 AM kotori