私がずっと感じてきたこと。それは、世の中の人達がハーフに対して持っている「イメージ」と、実際にハーフとして生きる「現実」の間には相当なギャップがある、ということ。
世間が抱くハーフのイメージは「ハーフはバイリンガル」、「モデルさんにはハーフが多い」など華やかなものが多いようですが、ハーフの現実は色々大変なことも多かったりします。色々話し合うことで、そのズレというか、ギャップを少しでも埋めていけたらいいな!そんな思いからこのサイトを立ち上げました。テーマ別にコラムも書いてますので、ぜひご覧ください。

NEW異なる文化(と法律)の狭間で

2015.2.1

「好み」と「差別」の狭間でに続いて、また狭間シリーズです(笑)

ハーフ、移民、などなどの話になる時にいつもむずかしいなあ、と思うのは、

国Aで育った人が、思春期または大人になってから、もう一方の国Bに移動する時。

たとえば、オランダ×イスラム諸国のハーフの場合。または、親が中東諸国出身であるが、自身はオランダで生まれ育った二世(移民二世)の場合。

ご存知のように、オランダは大麻(麻薬)に関して、規制が比較的ゆるい国であります。その一方で、イスラム圏に限らずシンガポールなど麻薬で捕まると死刑になる国もあります。

「どこの国も文化が違い、どこの国も法律が違うのは当たり前。その国その国の法律に従うのが当たり前」という意見はごもっともだし、私もそう思います。

ただ、国A(たとえばオランダ)で「オッケーだよ、やっていいよ!」の雰囲気で育った十代の人が、もう一つの祖国に帰った時、そこの文化も法律も180度違うのは(たとえば大麻⇒死刑)、思春期の人にとっては特に大変だと想像します。

現に、ドイツ的な環境の中で育ち気軽な気持ちで麻薬に手を出してしまいシンガポールで危うく死刑判決を受けそうになった(今は刑務所に収監後、出所している)ドイツ人のJulia Bohl という人もいました。「欧州的な軽いノリで、他国でも生活することがいかに危険か」という事の良い例だと思います。

文化が違うということはもちろん「法律」も違うので、フラフラと、各国の文化や法律を理解しないまま「自分の育った国の感覚で」移動するのってとても危険だなって最近思う次第です。

麻薬に関しては、欧州で育った人々(の一部。ハーフも含む)は「ハッパは軽いドラッグだからやってもいいじゃん。バーベーキューなどでいつもやってたよ~」と軽い感覚で言いますが、日本では犯罪ですので、こういった発言を聞くたびに「あなた、日本には来ないでね。欧州にとどまって。」と思います。

未成年の喫煙や飲酒に関しても、欧州が比較的「ゆるい」のに対し、日本は厳しい印象です(学校を退学になったりマスコミに叩かれたりする)。ドイツの場合は、意外にも法律で喫煙が許されているのは成人している人のみ(18歳以上)ですが、未成年の喫煙が発覚した場合の、親や世間の反応に関しては相当ゆるい。「お宅の16歳のお子さんは喫煙してます」とドイツの親に報告にあがっても、おカタイ職業に就いているマジメそうな親が平然と「ああ、ウチの子は15歳から吸ってるから今更なに?」というような反応をすることが珍しくありません。日本と比べるとかなりの温度差です。

ちなみに、ビールやワインに関しては、ドイツの場合、親同伴であれば、14歳や15歳でも飲酒可能、16歳からはビールやワインは一人でも飲酒オッケー、そして成人(18歳)後は全てのアルコールがオッケーです。つまりはビールやワインはお酒とはいっても軽めだから大丈夫との共通認識がドイツにはあるわけですが、ドイツで育った思春期の子(たとえばハーフ)が、ドイツと同じ感覚で、日本で「16歳で飲酒」をすると大変な問題になってしまうわけです。

ハタから見ると、「そんなの当たり前じゃない」って話ですが、ハーフや移民二世(や三世)は、そうでない人よりも、思春期に国を移動したりすることが多いので、そういった問題にぶつかることが実は少なくありません。

このように 麻薬、喫煙、飲酒などに対する考えは、文化によってかなり温度差がありますし法律も違うのですね。(大人が飲酒する事を禁じている国もあるわけですし。)子供がいないワタシが言うのもナンですが、「国をまたいで生活している子供」を持つ親御さんは子供と共にこういうった問題についても事前に話し合ったほうがいいかもしれませんね。問題が起きてからでは遅い場合もありますので・・・。

ちなみに、「恋愛をする十代の子供」についても、「それは思春期の自然な流れ」とする文化圏もあれば(たとえば欧州諸国)、未成年の女子が自らの意志で恋愛をし、男性と話したりお泊りする事を禁じている国もあります。そのような事から、欧州で育った移民二世の女性が欧州の感覚のまま恋愛をすると、家族の名誉を汚したとしてたとえ成人していても家族に殺されてしまうFadime Şahindal のような悲惨なケースに発展することもあります。ちなみにこれはほんの一例で、欧州ではこの手の話は枚挙に暇がありません。

このような話を読むと「文化と文化の狭間で育つ」というのは本当に難しいことなんだな、本当に様々な問題に直面することなんだな、と思います。

私も日本とドイツの違いにとまどってきた人の一人であるわけですが、よく考えてみると、狭間で悩んでいる人たちというのは世界中にたくさんいるのですね。ハーフにしろ、帰国子女にしろ、また今ニュースでもよく取り上げられている欧州の移民二世の人たちにしても。

異なる文化が共存することは本当にむずかしいんだなあ、と。諦めてはいけないんですけどね。

上に書いた例の数々は「欧州の文化で育った人が、そうでない国に行った時にトラブルになったケース」ですが、逆のパターンもまた問題が多いです。たとえば欧州にて、タバコ吸わない、お酒一切飲まない、結婚以外の男女交際はしない、というようなライフスタイルを選べば尊敬されるどころか周りにバカにされる雰囲気さえあります。生きていて何が楽しいの?的な。本当に冷たいし、繰り返しになりますが異なる文化の共存はすんなりいかないのが残念なところですね。

ハーフ(や移民二世)などの「国をまたぐ人達」つまりは「異なる文化圏の狭間にいる人達」は異なる文化や法律と、早い段階で向き合う事が求められるのですね。このことを意識する必要はあるかと思います。

それにしても、理想主義なのはわかっていますが、、、世界の法律も将来的にはもっと統一させることはできないものでしょうか…。ハーフや移民に限らずこれだけ人の移動が多い世の中ですので国の法律も世界中どこも同じだったらいいのに、なんて思ってしまいます。まあ無理なんですけどね。

みなさんのお考えや体験談なども、よろしければ是非教えてくださいね。

サンドラ・ヘフェリン