私がずっと感じてきたこと。それは、世の中の人達がハーフに対して持っている「イメージ」と、実際にハーフとして生きる「現実」の間には相当なギャップがある、ということ。
世間が抱くハーフのイメージは「ハーフはバイリンガル」、「モデルさんにはハーフが多い」など華やかなものが多いようですが、ハーフの現実は色々大変なことも多かったりします。色々話し合うことで、そのズレというか、ギャップを少しでも埋めていけたらいいな!そんな思いからこのサイトを立ち上げました。テーマ別にコラムも書いてますので、ぜひご覧ください。

NEWノーベル賞と「日本人」

2014.10.13

日本人3名がノーベル賞を受賞してから一週間が経ちましたね。

この一週間、テレビや雑誌などで多くの特集が組まれ、私のような素人(しろうと)も青色発光ダイオード(LED)は本当にすごいものなんだな、となんとなく分かった気分になっております^^

 さて、受賞のフィーバーから一週間、「ハーフ」の身としては、このノーベル賞、別の意味で気になっていたりしています。

 今回、ノーベル賞を受賞した人のうちの一人、中村修二さんについて。中村教授は現在アメリカ国籍であるわけですが、安倍首相が「日本人の中村さんがノーベル賞を・・・」と語っているように、日本(の一部)は「中村教授は日本人である」という認識なのですね。

おそらく現時点での国籍よりも、血筋や育った場所などを重視した結果の発言なのだと思います。

しかし法律上の事実は「中村さんはアメリカ人」です。法律よりも感情論を優先させる事に、とくに国際的な立場にいる人達の中では賛否両論(どちらかというと法律以外のものを優先させる事には反対意見が多い)のようですね。

というのも、日本政府が表向きは「二重国籍は認めない」としている以上、安倍さんが「日本人の中村さんがノーベル賞を・・・」と発言してしまうのは内容にかなり無理があるというか矛盾点が出てくるわけなんですね。

この点について、友達が面白いリンクをFacebookに貼り付けていましたので、皆さんもよろしければご覧ください。これを読むと、今回の問題点(安倍首相は、中村さんを「日本人」扱い。海外メディアの多くは、中村さんを「アメリカ人」としている。さらに日本国の「二重国籍は認めない」としている点の曖昧さ)がよく分かると思います。

http://uniunichan.hatenablog.com/entry/Multiple_citizenship

(↑のリンクに書かれた「戸籍」の部分も大変興味深いですね。そう、日本の現状は「戸籍」さえ残っていれば、いつでも日本のパスポートを申請できることになっています。

さらには、以下の点(※)も我々「ハーフ」にとっては興味深い点です。

以下、上記のリンクの抜粋⇒※「日本は「国籍単一の原則」から重国籍を原則的に認めていませんが、黙認でしか運用できません。これは、国籍法に重国籍への罰則規定が無く、国籍剥奪の強制執行制度も持っていないことも、後押しします。もしも重国籍を日本政府が知ったとしても、日本政府は「国籍喪失届を出すように」という説得以上のことはできず、国籍剥奪をする術はありません。出生による重国籍で、他国公務員に就任した際にのみ、法務大臣が国籍の喪失の宣言をできるのが唯一の国籍剥奪手段ですが、発令されたことはありません。」)

ちなみに、日本のマスコミの多くが、そして安倍首相が「中村さんを『日本人』として報道している」件について、Twitterには以下のような意見がありました(@timeinauさんのもの)。「日本政府は、二重国籍を決して認めないくせに、ノーベル賞の時だけ米国籍なのに「日本人」扱い…いくらなんでも都合よすぎ。他国籍取得で日本国籍を失うルールは日本が決めたこと。二重国籍認めてないのだから、それは米国人のノーベル賞。日本から米国への頭脳の流出。二重国籍を認めないとはそういうこと。」

なお、ハーフの人々からは、「日本国籍を持たない人(中村教授)が日本人扱いされてるけど、日本国籍を持っているのに外国人扱いされてしまう私たちハーフって、いったい何?」という声も出ております。

いろんな意見がありますが、国籍問題は、「ハーフ達」を必ず直撃する問題ですので、やっぱりこういう話には必然的に興味を持ちますね。

ただ、一つ違うとすれば、「ハーフ」は赤ちゃんの時に二つの国籍を得ている(日本とフランスのハーフの赤ちゃんの場合、日本とフランスのパスポートを、親が忘れずに申請さえすれば赤ちゃんのうちに、二つのパスポート(国籍)をもらう事ができる)のに対し、中村さんのようなハーフでない方の場合は、「成人してから、外国籍に帰化」となる形ですね。

 私自身は「ハーフ」ですので、子供の頃から日本とドイツの国籍を持っているわけですが、なぜか、よく日本人に「(日本に)帰化されたんですか?」と聞かれます。国籍にも、「ハーフのように幼い頃から国籍を持っている場合」と、「(ハーフでない人が)大人になってから片方の国籍から別の国籍に帰化する場合」とがあるのですが、そのあたりの事が世間ではちょっとごっちゃになってしまっている印象を受けます。

 それにしても、ちょっとイジワルな見方をすると・・・

 政府やマスコミは調子がいいなあ、と思います。

 ノーベル賞だとか何か名誉な賞を取った人だと、現時点において外国籍(たとえば中村教授のようにアメリカ国籍)であっても、日本の一部のマスコミは「日本人」としている。

 もしも、これが名誉な話ではなく、アメリカで銃乱射事件を起こした人だったらば、日本のマスコミはおそらく「日本人」とは書かず、「日系アメリカ人」とか「米国籍の」などといった書き方をするのだろうな、と想像してしまいます。今回のような、名誉な事に関して、日本国籍が有るか・無いかの定義が日本政府の関係者の間でも曖昧なのに、「日本人」と堂々と言い切ってしまう(一部の)マスコミや政府関係者はよく言えばポジティブ、悪く言えば調子が良いな、とちょっと思っちゃいました。人々の「国籍の捉え方」って、しょせんその程度なのだな、と。。

ただ、上記のような問題は国(日本)が二重国籍を堂々と認めれば、解決するのではないかとも思います。このコラムを通して言いたいことは「中村さんは日本人ではない!」ということではなく、「日本という国が(今回のようなノーベル賞受賞の際の国籍騒動もありましたし)二重国籍を堂々と認める方向にいったほうが良いのではないか」ということなのです。

 残念ながら科学・物理、理系全般に疎すぎる私ですが、今回のノーベル賞は別の意味で色々と考えさせられたのでした。。

 みなさんもご意見ありましたら、書き込んでいってくださいね。

 良い休日を~☆

 サンドラ・ヘフェリン

※10月14日に追記:

もちろん、ノーベル賞受賞は、どこの国籍かに関係なく、受賞自体が本人、そして人類にとって大変喜ばしいことです。ただし、こちらのホームページ「ハーフの考えよう」では、「ハーフにまつわるアレコレ」についてメインに書いていますので、意識的にポジティブな内容よりも問題点を多く取り上げております。そのため内容がシビアになりがちなことをご了承ください。

※10月22日に追記:

今日のニュースでこんなのが出てました。中村修二氏受賞で議論 ノーベル賞から見える「日本人」とは誰か? 首都大学東京教授・丹野清人 「ハーフ」というテーマをいったん措いておいたとしても、上記の記事の通り国籍について理解することは大事だなと改めて思いました。上記の記事では日本のシステム(戸籍や旧植民地に関する記述)についても比較的詳しく書いているので読んでみてください。「戸籍があるイコール日本人」ということも再確認しました。