≪ハーグ条約≫日本人同士の夫婦で初の返還命令

2014.7.29

先ほどニュースを読んでいたら、

<ハーグ条約>7歳児 日本に戻すよう初の返還命令

という記事が上がってきました。

このケースは、国際結婚ではなく、日本人同士の夫婦ですが、

奥さんが7歳の子供を連れてイギリスへ行ったので、

日本にいる旦那さんが子の日本への返還を求め、それが認められたのですね。

4月1日に日本がハーグ条約に入って初の返還命令とのことで、ニュースになったのだと思われます。

前回、私が中山美穂が「子供を捨てた」と言われている件というコラムを書いた際に、実は直接のメッセージで「貴女(サンドラ)の書いていることはトンチンカン。ハーグ条約は国際結婚の夫婦やハーフの子のために作られた条約で日本人夫婦には当てはまらないのでは???」というご意見を複数いただいたのですが、外務省のパンフレットにも記載されているように、そして今回のニュースの件のように、もちろん「日本人の夫婦」の場合もハーグ条約は適用されます。

それにしても、最初のケース(最初の返還命令)がいわゆる問題視されていた「国際結婚カップルの片方の親による(ハーフの)子の誘拐」ではなく、「日本人同士」だったのは私も少し意外でした。

国をまたいで仕事をする(子供のいる)カップルや、国をまたいで学業に勤しむ(子供のいる)カップルは、事前にお互いによく話しあってから子を外国に連れて行くことにしたほうがいいかもしれませんね。

たとえば「子供をバイリンガルにしたい!」という思いから親子そろっての語学留学を目論む親もいますが、パートナーの了承を得ないまま、子供をイギリスやアメリカに連れて行ってしまうのはアウトということなのですね。

どちらの味方というわけではないのですが、改めて非常に難しい問題だなと思いました。

ニュースのリンクは、時間が経つと読めなくなってしまいますので、記事をコピペしたものも以下(※)に貼り付けますね。

サンドラ・ヘフェリン

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<ハーグ条約>7歳児 日本に戻すよう初の返還命令

毎日新聞 7月29日(火)11時58分配信

 

ハーグ条約による子の返還の流れ

国境を越えて連れ去られた子の扱いを取り決めたハーグ条約に基づき、母親とともに英国に滞在していた日本人の子を日本に戻すよう、英国の裁判所が命じていたことが関係者への取材で分かった。日本では、今年4月に同条約が発効。外務省によると、日本の子の返還命令が出されたのは初めて。

【くわしく解説】ハーグ条約とは

関係者によると、日本へ戻すよう命じられたのは別居中だった日本人夫婦の7歳の子。母親が今年3月末、子を連れて英国に渡り、5月になっても戻ってこなかったため、父親が同条約に基づいて子の返還を求めていた。父親からの返還の援助申請に対し、英国政府が5月末に援助を決定。ロンドンの裁判所が今月22日、「出国後に母親が父親と約束した期間を超え、5月以降も子を英国に滞在させていることは、ハーグ条約上は違法な状態に当たる」と判断。今月30日に子を日本へ戻すよう命じた。日本の家裁では現在、母親側から離婚調停と、どちらが子を養う「監護親」となるかを決める審判が申し立てられている。

父親側の代理人の本多広高弁護士は「日本でハーグ条約が発効していなければ、母親の意向で今後の子の扱いが決まっていたと思われる。子を速やかに元の国に戻した上で、話し合いや裁判が進められることになり、適切な判断が出されたと評価している」と話す。

一方、母親は関係者を通じ「子を英国に連れて行ったのは仕事上の都合であり、違法に連れ去る意図は全くなく、今回の司法判断にかかわらず、7月末に子をいったん帰国させることを決めていた。子は4月以降、通っていたイギリスの学校を気にいっていた」と語った。【伊藤一郎】

◇ハーグ条約

「国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約」の通称。国境を越えて一方の親に連れ出された16歳未満の子の扱いを規定する。主に国際結婚の破綻ケースが想定されているが、同じ国籍の夫婦にも適用される。残された方の親が子の返還を求めた場合、相手国の裁判所が元の国に戻すかどうか判断する。また、海外に連れ出された子との面会を求めた場合、相手国の支援を受けられる。今年5月時点の加盟国は92カ国。

コメント

  • いろいろ偏見や固定概念を覆して、ハーグ条約の説明をしやすい例が出てよかったですね。それでも中山美穂の記事の時みたいに、条約よりも自分の見解を優先したコメントが付くのでしょうが。

    4:30 PM simon
    • simonさん 
       
      コメントありがとう!今のところ、このコラムには「ハーグ条約」を真剣に考えている人達からコメントをいただいていてホッとしているところです。
       
      今後もハーグ条約については色んなニュースが出てくるかと思いますので、機会あったらまたアップしますね★サンドラ★

      10:24 AM サンドラ・ヘフェリン
  • ハーグ条約はその本質よりも実例やアメリカからのニュースなどで、偏った知識になっている方が多く感じます。
    私自身もハーフの子持ちで子供とずっと日本を基盤に過ごしているのに一部の方に勘違いのアドバイスや批判をされることがあります。
    常に「あなたの言っている例は私と状況が違う」と言っても、日本人母がハーフ子と二人で父親は海外というだけで偏見を助長されてしまいます。
    父親側の知り合いも父親に「ハーグ条約で取り戻せる」などと入れ知恵をする人がいたりして、父親も「母親と決めたことで条約違反ではない」と答えているようですが、私を悪人・罪人扱いしてくる人はまだまだ少なからずいます。
    こういった実例を重ねて正確な情報が広く行き渡ることを望みますが、それは同時に、そういった環境におかれている子供がいると言うことであり悲しいことには変わりありません。
    また、繊細な問題なので、少なくとも個人の感情論でニュースに攻撃的な発言をする方がいなくなることを願います。

    6:26 PM しーし
    • しーしさん
       
      コメントありがとうございます。しーしさんが書かれているように「誤解されてしまう」のは本当に困りますよね。例えば本当に双方(子供の父親と母親)の了承を得た上で、片方の親が子供と国外に住んでいるのに、事情をよく知らない人から「誘拐ではないのか?」「ハーグ条約で取り戻したら?」なんてのは余計なお世話だったりすることもあるわけで・・・。広く「ハーグ条約」が理解されるようになれば、こういう誤解も減るのかな?・・・・・と祈るばかりです。
       
      そして、たとえば「日本人の女性がハーフの子供と二人で日本に住んでいる(外国人の父親は不在)」というだけで、周囲に「誘拐では???」と思われるのだとしたら、それも本末転倒ですしね。
       
      これからもコラムを書いていきますので、またちょくちょくこちらのサイトをのぞいてみてくださいね^^★サンドラ★

      10:31 AM サンドラ・ヘフェリン
  • NHKでも取り上げられていたのを見ました。こうなる前に、4月の時点でもっと大々的に、国際結婚だけの問題ではないことを取り上げられていたら良かったのかな、と感じました。そもそも、「ハーグ条約」って名前が身近な感じがしませんしね(ワシントン条約とか、他にもありますが)。
    しかし、一般の方が(おそらく条約の事をよく知らなかったがために)こうして報道されることになって、何より子どもが気の毒です。

    10:14 PM Erika
    • Erikaさん
       
      おっしゃる通りです。「こうなる前に、4月の時点でもっと大々的に、国際結婚だけの問題ではないことを取り上げられていたら良かったのかな、と感じました。」ということを、私も本当に思いました。条約が国民に広く浸透しないまま、「今までの感覚」で動いてしまった結果、こういうことになってしまったのだと思います。
       
      この日本人夫婦とお子さんの場合、実名報道ではないのがせめての救いかもしれません。★サンドラ★

      10:34 AM サンドラ・ヘフェリン
  • ハーグ条約は加盟している全ての国の人達に当てはまるので、日本人同士の夫婦の家庭にも当てはまります。
    今回は子供の留学期間をよく話し合わなかったことが原因かと思います。うちの旦那さんに聞いてみると、本当の誘拐なら分かるけど、子供が留学していて、旦那さんのほうから「話が違うから連れ戻せ!」はいかがなものかな⁈学校を変わるほうが子供にとってストレスでは?と言っていました。
    そう考えると、どっちが正しいかは別としても、ハーグ条約は必ずしも子供の味方にはなり得ないな、と思います。もし子供がイギリスの学校に馴染んでいて、日本に帰国することを望まないのなら?と考えると、父親の身勝手にも映るし。元いた場所がホーム、とは限らないので。
    どっちが正しい、ハーグ条約は絶対、とは100%言い切れません。だけど、いずれにしてもハーグ条約違反で国際問題に発展しないように、常日頃から夫婦で子供のことを納得行くまで話し合っておく必要はあります。私達も常に自分達、子供のことを話し合うようにしています。それが家族ですから。

    9:42 AM Jannat
    • Jannatさん 
       
      Jannatさんのご主人やさしいですね^^ 
       
      英語の教育を子供に受けさせてやりたい場合、「子供をバイリンガルに育てたい」場合、親子(片方の親と子供)が英語圏に留学するケースもありますが、その際にしっかり事前に話し合っておかないと、これから今回のようなケース(日本に残された親が、外国からの子供の返還を求める)も出てくるのではないかと思います。
       
      Jannatさんも書かれているように、難しい問題ですよね。たとえばですが、仮に日本に住む共働きの日本人夫婦がいて、子供が一人いる。父親は子供の面倒(食事の世話、勉強を見てやるなど)を見ないで、母親が主に子供の面倒を見ている。そんな時、たとえば母親の仕事の都合や海外転勤で、「一家全員」で海外に行くのが不可能な場合、母親が子供と二人で海外に行くケースもありますが、母親からしてみると、「父親は子供のご飯も作れないし面倒を見ていないのだから、日頃から(子供の)面倒を見ている母親の自分が子供と一緒に海外に行く」という考えになるんですよね。ところが残された父親は、それには納得しない。・・・となると、非常に難しくなってくるのではないかと思います。こういうケースを書くと、「だから、専業主婦の多い昔がトラブルが少なくて一番良かった」とか言うオジサマ方が出てきそうですが・・・それもまたちがいますよね。★サンドラ★

      10:44 AM サンドラ・ヘフェリン

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