親がハーフの子供の味方になるということ(国籍版)

2013.12.19

さて。重めのテーマです。

以前、ハーフと親子関係、そして、ハーフの国籍問題について書きました。

親子関係に関しても国籍に関しても色々とあって難しいのですが、

とくに「難しいな」と感じるケースは、

親が無意識のうちに「自分の子供」であるハーフよりも、「世間」の味方になってしまっている場合。

とても残念なことだと思います。

たとえば日本×ドイツのハーフの赤ちゃんがいるのに、

親が国籍を一つしか申請しないケース。

親がドイツの国籍と日本の国籍の両方を申請するのが親としての義務だと私は思うのですが、

中には「ウチの子供は日本の国籍だけでいい」と言う親もいます。

そして親の話を聞いてみると、

親は「だって、国籍を二つ持つって、どうかと思うのよ。一人の人間にアイデンティティーが二つあったり、名前が二つあったり、パスポートが二つあったりしたら、犯罪とか何でも悪いことができちゃうし、良くないことだと思うのよね。」

・・・・これを聞いた時、ごめんなさい、呆れてしまいました。いったい、誰の味方?子供の味方じゃないの?って。

子供が犯罪者になるかもしれないから、パスポートを二つ持たせたくない?

この発想って、親としてかなり酷いと思うんだけど。

本当は自分の子供の立場に立って、「自分の子供の味方」をしなければいけないのが『親』なのに、この親、子供ではなくて「世間の味方」になっちゃってるんですよね。

たしかに世間には、今の時代でも、「パスポートや名前が二つあるなんてなんだか怪しい」と思っている人もまだまだいるわけです。

でも、そんな世間に親が呑まれてしまい、子供の立場に立って考える事をしないのって悲しいと思います。

なんだかよくわからない世間の声を無意識のうちに自分の意見にしてしまい、「子供の国籍は一つでいいや」と親が判断してしまっているのですね。

親は、子供の立場に立って、子供にとって将来一番「有利な方法」をいま選ばなければならないのに。

たとえば日本×EU加盟国の国(たとえばドイツ)の組み合わせのハーフである場合、

もちろん国籍は「日本」と「ドイツ」の「両方」を申請したほうが良いに決まっています。

そこを、「でも二つあるなんて混乱するし、みなさん(それは『世間』?)も一個が普通だから」という理由で一つしか申請しなかったりするのって、いったい親なのに誰の味方なの?子供より世間が大事なの?なんて思ってしまいます。

中には「世間の味方」なんて大袈裟なものではなく、単に「限りなくのんき」な親もいます。

ある親は、「ウチの子供は日本国籍なんだけど、将来本人が大人になってドイツの国籍もほしいって言ったら、その時に申請すればいいと思ってるの。ドイツの国籍も必要になったらその時に申請すればいいわよね。」

・・・って、一体どれだけノンキなんですか。

大人になって国籍を申請するのが、どれだけ大変か恐らく分かっていないのだと思います。

この親は「本人が将来国籍が必要になったら、その時に申請すればいい」と言うけど、どれだけ天然ボケなんでしょうか。

以前にも書いたことがあるのですが、

たとえば就職活動をする際に、その会社や機関の職種や仕事内容によっては、応募条件に「EU国籍保持者のみ」と書いてある事があります。

将来、子供が就職活動をしている時に、興味のありそうな仕事を見つけて、その募集事項に「EU国籍保持者のみ応募可能」と書いてあり、そのハーフが日本国籍しか持っていない場合、どんなに能力が高くても、その仕事を諦めるしかないのです。親が言うように「国籍をそのとき申請」しても、時間的に間に合いません。

仕事の募集の応募は、締め切りが結構ギリギリな事が多いのです。

募集が出て締め切るまでに1ヶ月とか。

その1ヶ月間の間に、いくら日独ハーフでも、ドイツ国籍をポンと簡単に手に入れるのは限りなく難しいです。

就職だけでなく、留学に関してもそうです。

例えば、ヨーロッパのある国に留学したい。でも留学生の枠は国別で予め数も決まっていたりしますから、

場合によっては「日本人枠」よりも「EU国籍保持者の枠」のほうが大きい場合があります。

そんな時にサッとパスポートを出せる状態に予めしておいてあげるのが親の役割だと思うのですが・・・。

アメリカに長期にわたり住みたい、と思い立ち、グリーンカード取得のために動く場合も、

時代によって「日本の国籍のほうが有利」の場合もあれば、逆に「EUの国籍のほうが有利」の場合もあり、将来どうなるかなんてわからないのです。

なので、国籍やパスポートは用意していなければならないし、そういう現実的な事を「ハーフ」の子供を持つ親は考えなくてはいけないのですね。

国籍、とりあえず子供に持たせてあげましょうよ。

こういっちゃあナンですが、とくにEU加盟国の国籍は持っておいて損なことは何もありません。

EU加盟国の国籍は貴重なのです。

世界中で、いったい何人(なんにん)の人が

喉から手が出るほど「EU国籍」を欲しがっているか。

それを、目の前にチャンスがあるのに、本当は申請さえすれば赤ちゃんのうちにEU諸国の国籍が手に入るのに

親が変な世間体(「人間、国籍って、一つしか必要ないと思うの」)に呑まれて

日本の国籍しか申請しないって・・・悪い意味でスゴイ話だと思います。

理不尽な死刑が多発している国の国籍であれば、

国籍が手に入ることでむしろ危険な目に遭う可能性が高まる事は否定しません。

でも、EU加盟国ではそういう危険は無いんですよね。

ですので、申請して損は何もないと私は思うわけです。

これが、とりあえず、私の意見。

色んな考え方がありますし、現実問題として(こうやってコラムを書くことは別として)他人の家の事情に首を突っ込むことはできないわけですけどね。

それでも「ハーフ」を中心に考えていくこのサイトでは、

ハーフの声として、重要であるこのことをあえて書かせていただきました。

みなさんの国籍に関する体験談もよろしければ、おしえてください。

どうぞ宜しくお願い致します。

サンドラ・ヘフェリン

~~今週のcakes、ぜひ読んでください~~

★パパとのデートは国際不倫? https://cakes.mu/posts/4250

コメント

  • サンドラさん、こんにちは。
    国籍のこと、本当に同感です。私の夫はイタリアとチェコの二重国籍、私は純日本人。子供たちはイタリアとチェコと日本の3つの国籍を持っています。現在の日本の法律では成人したら国籍をどれか選ばなくてはならないですから、今後イタリアに住み続ける以上イタリアの国籍を選択するのだろうとは容易に想像できますが、私たち親にできることは複数の国籍を持てるという幸運があるわけですから子供たちにできるだけ多くの選択肢を残しておいてあげることだと思うのです。しかし、その最終的な選択は子供たち本人がおこなうもので、親が強制するものではありません。
    ただこれは、日本とEUという恵まれた条件だからということを忘れてはいけないと思うのです。我が家の向かいにはイタリア人とセルビア人夫婦が住んでいて、子供が二人います。セルビア人の彼女は数年前にイタリアの国籍を取得しました。子供たちはイタリア、セルビア両方の国籍は持っているけれど、「パスポートはイタリアだけ。セルビアのパスポートなんか持っていてもいいことなんて何もないから」というのです。イタリアのパスポートなら国境でほぼフリーパスで通過できるのに、セルビアのパスポートだと時間がかかる。このようなことを聞くと、日本人であることがどれだけ恵まれているかを身に感じます。
    日本と徴兵制のある国のハーフでは、徴兵されないようにするため日本の国籍だけという場合もあるようですね。

    6:23 PM Jun
  • 日本国籍しか持っていない私に大きなことは言えませんが、これを読ませていただいて思ったのは「例に出ている人の家庭内ではこういうことを『きちんと話し合って』決めたのだろうか?」ということ。
    あくまで文を拝読する限りでのことですが、互角に意見を出し合ったのでなく主に日本人の側が「ごり押し」に近い形で決めてしまったのではないかとちょっと悲しく感じました。
    もう一方の国出身のパートナーがなんだか気の毒に思ったのです。
    たまたま前のJunさんが書いてらっしゃるケース=徴兵制を考慮した選択をしたご家族の話を知っていますが、其の人たちが子供を含めてちゃんと話し合った様子を聞かせてもらっただけに、余計にこう思ったのかもしれません。
     こんなこと書いてしまってどうかな…とは思いましたが、サンドラさんも「他人の家の事情に…」と付記した上で書いてらっしゃるので、思った事をそのまま書かせていただきました。

    10:44 AM 八木茂明
  • 同感です。私も生まれたときからドイツと日本の両国籍を持ち、日本における国籍選択の義務が法律で定められた1985年前に生まれたことから、国籍を選択する義務はありませんが(ドイツには、血統主義に基づいて重国籍を取得している国民に対して、現在もそのような義務はありません)、この環境を築き上げてくれた両親に感謝しています。日本国籍がなかったら日本での生活はひどく苦しいものになっていただろうし、ドイツ国籍がなかったら、ヨーロッパでの生活も今ほど楽ではないでしょう。
    もし日本の国籍法上、国籍を選択しなければならないとしても、それは重国籍の本人が決める問題で、その可能性、選択肢を初めから除去してしまうのは、子供の利益を考慮しないどころか、それと矛盾することになります。
    国籍が多数あることによって、犯罪に走る、という理論に全く根拠がないのは言うまでもありません。
    大事なのは教育です。「ハーフ」であることを揶揄された子供の時期に、父がよく言っていました。君は日本とドイツが半分づつなんじゃなくて、100%日本人でもあるし、それと同時に100%ドイツ人でもあるんだよ、と。この言葉のお陰で、人生において、前向きな選択、決定をすることができたと思うし、これを次の世代にも繋げていこうと思っています。
    日本でも国際結婚が少しづつ増えている中、サンドラさんのコラムは大変参考になるし、貴重な情報源です。

    11:16 AM 永田洋平
  • うちの娘も日本、バングラデシュの二重国籍です。はじめはバングラデシュ国籍を持っていてもいいことはないし、EU、アメリカの二重国籍と違って大変なのではないか、と思っていました。ところが日本国籍を持っているとそれほど大変でもないし、両親のどちらかがバングラデシュ人であれば自動的にバングラデシュ人になる、ということです(大使館で確認しました。)。バングラデシュでは二重国籍を認めているので、本人が将来バングラデシュで勉強したい、住みたい、と思った場合は、国籍の面で外国人というハンデを背負わなくてもいいのです。幸い、バングラデシュは独裁国家でもないし、徴兵制度もありませんので、旅行でビザを取ることを要求される以外はそれほど問題になったことはありません。
    二重国籍って犯罪に走るんですか??理解に苦しみます。経験上、名前と国籍が二つあるからと言って犯罪が簡単にできるわけではありません。2つのアイデンティティがあるからといって簡単に別人になれるわけではなく、あくまで便宜上の話です。古いタイプの私の両親でさえも、今の国籍法を知ってからは、娘には可能であれば二重国籍を持たせなさい、と言ったくらいです。

    12:59 PM Jannat
    • Jannatさん、
       
      コメントありがとうございます!バングラデシュの場合は、そうなんですね!国によって本当にちがうんですね、勉強になります!
       
      コラムに出てくる親が言っている「犯罪」というのは、「一つの国で悪い事をしても、違うパスポートでまた違う国に行ける」という事らしいです。そのようにして、悪い事をしている国際犯罪者(?)もいるのでしょうが、「国籍が二つあるから、こういう犯罪に走る」というわけではないのにね。もっと自分の子供を信じて可能性を広げてあげてもいいのに、と思います。★サンドラ★

      2:06 PM サンドラ・ヘフェリン
  • サンドラさんと皆さんのおっしゃる通りだと思います。
    子どもが主張できるはずの権利をなぜ(親が)放棄するようなことをしてしまうのかと。
    「ハーフ」であることで不利益を被ることもあるのに、おそらく「利益」になるはずの国籍選択権を与えてあげないのは、何か特別な理由がある場合は別として、親としてどうかと思います。

    私の知り合った国際カップルにも、日本で生まれた子どもに日本国籍しか申請していないという人がいました。父親は欧米の人らしいですが、「書類とか大変でまだ申請してない」だそうです。もうお子さん2人いますが。父親もそれでいいの!?!?と思いましたが、もちろん何も言いませんでした。

    私は子どもが生まれる前に、日本と夫の国(欧州)の法務省のホームページ見て国籍について調べました。もちろん、夫が大使館で手続きをして、両国の国籍とパスポートがありますし、日本にも保留の届けを出してあります。ただ、日本国籍を選択した時の外国籍離脱について「努力義務」であることはサンドラさんの著書で知ったので、感謝です。

    ちょっとそれますが、日本のパスポートも旅行などする時には良いと思います。以前中国に行ったとき、息子と私はビザ要らず、夫はビザ申請でお金もかかりました(ただ中国に関しては、反日デモとかで、私と息子が行けず、夫一人で行く羽目になったこともありますが…)。

    4:48 PM Erika
  • 国籍は、その人の人生を左右するといっても過言ではないと思います。生まれながら複数の国籍を持てる立場のお子さんに対して「ウチの子どもの国籍は一つでいい」と親が決めるというのは、子どもが生来持つ権利を親の手で損なうことであり、本当に親が決めていいのか、真剣に考えていただきたいと思います。特に日本では、国が重国籍を認めていない立場を取っているために、複数の国籍を持ちうる赤ちゃん向けの具体的な説明を行政はしてくれないので、親御さんは、行政だけにまかせずに、自分の子どもの持ちうる国籍とその手続きについて、自分でよく調べる必要があると思います。サンドラの言うように、生まれてずいぶん経ってから新たな国籍を申請しても、取得が難しかくなってしまう場合もあるので、とにかく生まれたらすぐが大事でしょうね。子どもの国籍の選択は、親の価値観次第なのかもしれませんが、子ども自身が幼くて理解できないのだから、せめて判断能力がつくまでは親が勝手に決めずに複数国籍を保有させて、成長してから判断しても遅くないのでは?その子の人生ですし。

    12:48 AM N☆
  • サンドラさん
    いつもコラムを読ませていただいている日独ハーフの麗です。
    なんの気まぐれか日本在住だったうちの親は二人の子供のうち、私だけに二重国籍を持たせました。親いわく、最初の子の時は考えもしなかったそうです。
    後、父は(日) は兄15才、私9才の時に亡くなりました。
    その後、1990年代、未亡人としても簡単ではなかったはずな上にドイツ人女性が日本で暮らせる環境は人種差別、女性差別を頻繁に感じさせられました。
    20年間日本に住み、日本は自分の第二の故郷と胸を張っていた母はったの2 年後、ドイツ帰国を決意しました。母は
    ドイツ大使館では私が生まれたときに申請された二重国籍をもとにドイツパスポーを申請し、兄はツーリストビザでしか入国できないと言われての後の強制送還を恐れ、兄は17才で一人日本に残ると自ら決めたのです。

    バイリンガル教育をされず、日本語のみで育った私はドイツ人として生まれ育った国を離れドイツへ「帰国」しました。
    7年後、ドイツでの生活も安定し、兄もやはりドイツへ移住したいと言い出し、申請したのですが国籍取得どころか、配偶者がドイツ在住にも関わらず滞在ビザもおりませんでした。

    家族は今でもバラバラです。
    私はドイツでドイツ語を学び、日本語を活かして働いてきました。 兄はドイツは好きだが住めなくて残念だと今でもいっています。母は再び日本で暮らしています。

    パスポートが人のアイデンティティーを定めるのではありません。一人の人間の情報を手っ取り早くまとめた書類です。 国籍と名前と生年月日、そして旅券番号が記入されているだけの薄っぺらい人間はいません。

    国際結婚して産んだ子供には日常からマルチカルチャーが存在します。それから目を反らしてうちの子は日本で生まれし。。。とか都合のいい言葉を並べて引っくるめないでほしい。

    国籍は最大の権利です。 戦争の際は保護。旅行の際は信頼。挙げればもっとあると思います。

    私に与えられた日独の国籍は今でも私の人生を曖昧にしつつ絶対に広がっています。 スイスへ移住した時はドイツ人として滞在ビザは権利でもありました。

    しかも国籍を複数持っていても発行するパスポートは一冊で構わないのに。

    結婚も出産も親の勝手。

    けれどもその生まれてくる子供は一人の人間であって親の所有物ではないのです。小さいうちは兎も角、成人しても親の言いなりにはなりません。そして自分にある人生とその可能性を正面から見つめたとき、国籍は無数の扉を難なく開きます。
    それを親は何の権利で閉ざす事が許されるのですか?
    EU国籍でなくても、権利ですから、親に拒む術があってはいけないと思うのです。親の国籍は義務的に子供へ受け継がせる法律がほしいですね。でなければ、親の国籍を元に成人する子供へそれの速やかな所得権利を。
    親が子供の権利を叫ばずして誰が守るのですか?

    6:00 AM れい
  • お久しぶりです サンドラさん 
    日独ハーフの麗です。

    名前も国籍も二つ持っていますが、犯罪に関わったことは無いのでご安心ください。 笑 

    多数国籍は絶対的な権利ですよね。私もそこに賛成です。

    うちの親は日本で私の兄と私を生みました。
    何の気まぐれか、日独の二重国籍は私のみに与えられました。親に聞いたところ、最初の子供の時はそこまで考えていなかったそうです。

    後、兄が15歳、私が9歳の時、父(日本人)は亡くなりました。
    夫婦で営んでいたドイツレストランは外国人の未亡人ひとりでは経営が難しく、間もなく閉店。

    20年以上住み馴れて、、日本は自分の第二の故郷だと誇りに思っていた母ですが、世間の外国人女性への偏見、人種差別、女性差別などが身近になりました。未亡人としても住みづらくなり、父が亡くなってたったの二年でドイツへの帰国を決心しました。

    さて、この時に正に過去が邪魔をしていました。
    私は生まれた時に申請されたドイツ国籍をもとに、母とおそろいのドイツパスポートを手に入れました。しかし、兄にはツーリストビザしか出せないといわれ、入国しても短期間で職場を見つける以外術は無く、強制送還されるしかない との事でした。 バイリンガル教育をされていなかったので、私たちは日本語しか話せませんでした。
    言葉の壁を前に職を得るのは難しく、強制送還を恐れた兄は17歳で一人、日本に残る決心をしました。 

    それから7年後、ドイツでの暮らしも安定して、兄がもう一度ドイツチャレンジしたいというので手続きを進めたところ、母と妹という配偶者がいたにもかかわらず、国籍取得どころか長期間滞在ビザも下りませんでした。 3人で何度も出向いたベルリンでの外国人事務所での対応に覚えた気持ちは今でも覚えています。法律や係りの人への人種差別の疑い、親への怒り。

    家族は今でもバラバラです。 兄は日本で暮らし、私はドイツで長い間暮らし、今はスイスです。母親はドイツの暮らしに馴染めないまま、7年前にまた日本へ移住しました。

    私は夫の仕事がスイスに決まった時、入国審査はドイツ国籍で行ないました。EU国民として、スイスでの滞在は権利でもあったのです。

    私も1985年前の生まれですので、ずっと二重国籍です。
    それは私を2人の人間にしていませんし、上にも述べたように犯罪者でもありません。コンピューター上、私が日独のパスポートを持っていることも空港で明白ですし、一度長男が自分の日本のパスポートを隠して(スイスへ帰りたくないと。。。 笑)翌日のフライトでドイツのパスポートで出国しようとしたところ、警察に連行されてしまったことがあります。 まったく犯罪に繋がらないんですよ。お国様、どこでもそこまで能無しではありません。 どこのどなたか、二重国籍=犯罪はどうかオ考え直してくださいませ。

    2冊のパスポートがあっても、データー上私は一人の人間でしかないのです。 

    国籍は人間が持てる権利の一つです。

    国際結婚をして子供を産むなら、その子供が日常で多数文化を生きていくのですから、無責任に 「うちの子は日本で生まれてるから・・・」とひっくるめないで欲しい。

    結婚も出産も親の勝手。
    でも国際結婚したなら、相手の国の事も子供に伝えるべきです。
    そして国籍を与えてあげるのは親の義務であり、子供の権利です。
    子供が成長して、自分の人生とその可能性を本気で見つめた時、親が与えた多数国籍は無限の扉を開きます。 それを使うか否かは子供の判断です。親は何の権利でその扉をとざすのでしょう? 
    親が我が子の権利を主張しないで誰がするのですか?

    私の母は、兄の前で泣き崩れました。 申し訳ない。 許してくれないのも分かるけど、まさかこんなことになるなんて思わなかった と。 

    私の子供達(日独X土)も日独の国籍をもっていますから、申請の際の面倒な書類も知っています。 時間もかかります。 けれど、一度申請してしまえばそれで義務は終わりなのです。

    親に決める権利があるのがそもそも間違っているのです。
    親が異なった国籍を所有しているのなら、その権利を子供にある程度の期間、自動的に託すべきではないでしょうか。わざわざ親に申請させるシステムだから問題が起こるんだと思います。

    あ、また長~くなってしまいました。

    7:02 AM REI
    • REIさん、
       
       
      お返事が遅くなってごめんなさい。すごく詳細に書いて下さってありがとうございますm(__)m REIさんが書かれたエピソードは涙なしでは読めませんし皆さんに是非読んでいただきたいです・・・
       
       
      REIさんも書いているように、「大人になってからの国籍申請」には色んなハードルがあるんですよね。REIさんのお兄様と似たケースで、ドイツ現地の役所とやりとりをしていた日独ハーフの人に対して、役所の担当者が”Da können Sie sich bei Ihren Eltern bedanken!!”と冷たく言い放った事もありました。この”Da können Sie sich bei Ihren Eltern bedanken!!”とはドイツ語の皮肉っぽい言い方で、「アンタ、親にありがとう!って言いな!!(アホンダラ)」みたいな感じです。つまりは、国籍を申請しなかった両親のせいでアンタはこんなに苦労している、親に『ありがとう』だね、ってワケです。・・・・なんともまあ意地悪なドイツ流の皮肉めいた言い方です。こういう事を言う人も言う人だと思いますが、逆に言うと、親は、ハーフの子供が赤ちゃんのうちからハーフの子供の国籍申請をし、なんとしてでも、大人になってから子供がこのような苦労をする事を防がなければいけないと私は思います。
       
       
      REIさんも書かれているように、「EU加盟国の国籍(たとえばドイツ)を持つ」事は、ドイツに住む際にも便利だけれど、「第三国」(たとえばREIさんが書かれていたみたいに「スイス」)に住む事になった時にも非常に有利なんですよね。スイスに住みたければ、日本人(日本国籍)としてよりも、ドイツ人(ドイツ国籍)のほうが審査が簡単に通るという。それが現実です。ですから、ハーフの子供を持つ親は「ウチの子はドイツに住む予定はないから」などと簡単に決め付けて(ドイツ)国籍を申請しない、なんて暴挙に出てはならないと私は思っています。
       
       
      もちろん、逆も同じです。日本国籍も申請すべきだと思います。「いま」外国に住んでいるからといって、「ウチの子は日本には住まないから」と親が勝手に決め付けないほうがいい。
       
       
      REIさんのコメントの中の
       
       
      >私の母は、兄の前で泣き崩れました。 申し訳ない。 許してくれないのも分かるけど、まさかこんなことになるなんて思わなかった と。
       
       
      ↑というのを読んで涙が出ました。お母様は本当にこういう事になるなんて思っていなかったのでしょうね・・・。でも結局は「紙キレ一枚」を申請しそびれた事で、そういう事になってしまった。。。
       
       
      ハーフの子供を持つ親御さんにはREIさんご一家の話を教訓にぜひ国籍申請を前向きにとらえていただきたいと思ってます。「国籍」は「赤ちゃん」の時に親が全部(一カ国だけでなく全部)申請したほうがいい。こんな事を書くのは不謹慎かもしれませんが、人生、何があるかなんて分からないのです。親が「もう一つ国籍が欲しくなったら、子供が大人になった時に自分で申請すればいい」とノンキにかまえていても、子供が「大人」になった時、親は生きているか・・・?それさえも分からないのです、人の命は運命ですから。そして、役所での手続きに関して言えば、たとえば日独ハーフの大人(日本国籍しか持っていない)がドイツの役所でドイツ国籍を申請したとしても、ドイツ人であるほうの親が既に死亡している場合、まず、その日独ハーフ本人VS.ドイツ人の親の「親子関係の証明」が非常に難しくなってきます。「亡くなった父親がドイツ人なんですけど、私もドイツ国籍がほしいんです」と説明はできても、その亡くなった親との「親子関係」を証明するのために物凄い量の書類が必要なんですよね。その書類をそろえるのは国内(日本)ではできない場合もあるし、書類をそろえる事は物凄い労力です。時間もお金もかかります。それが現実。だから、子供が生まれて、子供が赤ちゃんのうちに、そう、お父さんもお母さんもそろっていて、みんなが健康なうちに、赤ちゃんの国籍は申請すべき。

       
      国際結婚の家庭では、例えば日本人女性とドイツ人男性の夫婦で子供がいる場合、その家族の「ドイツ関連の書類」に関しては全部ドイツ人男性のほうが管理をし、日本関連の書類は全部日本人女性が管理する家庭が必然的に多いですが、例えばドイツ人男性が死亡してしまうと、子供の「ドイツ関連の書類」がどこにあるのか、残された家族が何も分からなかったりする事が現実には多くあります。ブラックな冗談で、「あの人は書類を持ったまま死んでしまった」なんて言い方もドイツ語にはあるぐらいです・・・

       
      それに、最近は色んな規制が厳しくなってきていて、昔だったら、例えば日本人(日本国籍の人)がドイツ人と結婚するだけで、ビザが比較的簡単に出たのですが、現在は、たとえ配偶者がドイツ人であっても、長期のビザを日本人が取得するには「ドイツ語テスト」をパスする事が求められます。つまりドイツ語能力に関して試験があるのですね。そして、こういった規制が今後どんどん厳しくなるかもしれないのですね。
       
       
      ですから、パスポートの申請に関しては、赤ちゃんが生まれた「今でしょ!」(←今年の日本の流行語?笑)なのです。子供の国籍申請は決して後回しにしないで、スグやるのが、全員にとって一番だと思います。
       
       
      REIさん、ご自身のことを書いてくださって、本当にありがとう!!!★サンドラ★

      4:13 PM サンドラ・ヘフェリン
  • 日本国籍とEU国籍、両方持っています。

    先日、某EU国の日本大使館で日本の旅券を申請しました。

    現在いる国の滞在許可を証明することが必要とされたので、窓口でそのまま自分のEU旅券を差し出しました。

    何も言われませんでした。

    よく、国籍の話になるとそういうことに無知な一般の日本人が考えている「二重国籍=犯罪」と実際に現場で関わっている人達の考え方のギャップに驚きます。

    そもそも少子化が進んでいる国がわざわざ新しい世代を国から弾きだすようなことをして、国にとって良い訳がない。

    日本で二重国籍が認められるのは時間の問題だと思います。

    10:36 PM おしるこ
  • 松田 依子 国籍は子どもの選ぶ事ですし、大体において選択肢はよりあった方が良い…です。親の無知はホント罪かもしれませんね。(その辺も含め、来年は啓蒙ご一緒にお願いします)

    ちなみに、国際結婚では合法的に夫婦別姓が可能(相手には戸籍がないので温存可能)すらご存知なく国際結婚する方(特に日本女性の改姓への思い込み)もまだ多く(旧姓に戻すのは日本は超面倒)、法律的知識の貧しさも感じます。

    本来「権利はそれを知って使用するものにのみ与えられる特権である」は民主主義の原点です。純ジャパとして暮らしていると本当に、ボケますよね。

    4:16 PM よりより
  • EUの国籍取得は何かと厳しいようですね。私達夫婦はEUの国籍がないので娘には取ることができませんが、もしあるのなら絶対に取らせたいと思います。
    私達にとっては娘がバングラデシュ国籍を自動的にもらえる、というのは幸いでした。今のバングラデシュは経済的に成長中の国で、問題は山積みですが、娘が大きくなった頃にはどうなっているか分かりません。もし、安定した国になっているのであれば、住みたいと思う可能性はあると思っています。バングラデシュ人と結婚する可能性もあります。
    国籍に限らず、法的には全てがナーナーのバングラデシュですが、親の意思に関係なく国籍が「ある」というのは、娘にとってはよかったのではないか、と思います。

    8:51 PM Jannat
  • 私は26歳のときに母の国に移住するために国籍申請をしました。それまでは親が日本で生まれて日本に住むのだから母親の国の国籍は必要ないだろう日本国籍しかありませんでした。
    母の国は二重国籍が認められていますが、22歳を過ぎていたので申請には少し苦労しました。
    必要な書類をそろえるのもそうですが、弁護士費用に加え手続きを行う役所がある首都に必要な度に足を運ばないといけなかったので交通費も馬鹿にならなかったですし、幸い私は首都の近くに住んでいたのでまだましな方ですが、地方に住んでいる場合は長時間のバス移動を強いられるのでたまったものじゃないでしょう。
    それに変えて、私が母の国で子供を産んだ際今度は日本大使館に出生手続きをしに行きましたが現地の出生証明書(戸籍謄本?)を自分で訳して持っていけばよかったので楽でした。

    8:22 AM sachi
  • ドイツと日本の国籍法について

    日本で国籍の問題が1985年以前と以後で変わるように、ドイツでも1974年以前と以後で変わります(記憶では1974年、間違ってたらすいません)。

    この時期、それぞれの国で父系血統主義から、両系血統主義に変わりました。

    そのたえ、日本人の父、ドイツ人の母を持っていても、1974年以前に生まれた場合、その子は日本国籍のみ。1974年以後だと、日本国籍とドイツ国籍の二重国籍を得られる可能性があります。

    日本から見たとき、1985年以前に生まれた場合、自動的に国籍の選択をしたことになります。1985年以後だと、「国籍選択届」の提出が必要です。

    国籍に対する考えは、「一人一国籍、無国籍は作らない」というのが原則のようです。

    しかし、現在のように国と国との行き来が容易になっている現在では、「一国籍+α」もあってもいいかもしれません。

    犯罪者と見るのは、国家からみたときの都合です。実際、スパイは複数の他人名義のパスポートを持ってますので。

    複国籍をどうするか、個人の側と、国家の側の都合とのかねがいが問題になると思います。

    もっとも、1985年以後生まれの人々は、この問題に関心が薄いように思います。それは、日本とドイツに関していえば、居住国の国籍を生まれながらに持てているからだと思います。

    ドイツは2000年の法改正から、23歳までに国籍を選択するという条件で、永住権のある外国籍の人に生地主義を適用しました。人権という面で、ドイツの政策は見習われるべきものだと思います。

    サンドラさんには、国際結婚家族の二重国籍のみならず、最近のドイツの移民統合の事例を日本に紹介していって貰いたいと思います。

    7:27 AM Hyoue Okamura
  • こんにちは。
    久しぶりにコメントします。
    今日は休みでサンドラさんのコラムを拝読していました。

    確かに国籍の問題は私が10代の時、家庭内で話す機会がありました。
    私は日本国籍のみです。
    父は全くこの件を取り合わないので、色々制約があり狭くなったと伝えても怒るだけです。

    私個人の考えですが、親がこれが良いと思う生き方を押し付けるのではなく、可能性を広げると考えてもらえたら、良かったと思っています。
    何と無く感じるのは、サンドラさん世間の基準を自分の基準と置き換えられたのでは …
    父をみていますと、東西も早く崩れるとは思っていなかったみたいで、
    より安全な日本が最善と考えていたみたいです。
    親になって我が子をみていると、日本以外の国でも楽しく過ごすタイプと全く違うタイプといて、どうして一つだけが良いと考えたのか疑問には思っています。
    それぞれの家庭で、きちんと話し合いをされた方が、良いと思うのでコメをしました。

    1:18 PM ムスティ
  • こんにちは。
    すみません、コメントの文章が、何と無く感じるのは…のあとが入力ミスのまま送信してしまいました。

    本当は、…の処を事なかれ主義に流れているのを、サンドラさんのおっしゃる世間の基準を出して自分の基準としたと書いておいたところ、カーソルを押し違え消された文章を出してしまいました。

    読んだ方が???となってしまい、すみません。

    12:09 PM ムスティ
  • 夜分遅くに、突然の投稿を失礼致します。
    いつもサンドラさんのブログを拝読しているルカと申します。
    こちらの記事を読んで思い出したことがあり、投稿させて頂きました。

    私の知り合いのメキシコ人のお母様は、「日本ではない方の国が二重国籍を認めていれば」実質二重にできることをご存知なく、手続きをしなかったために、お子さんのメキシコ国籍が失われてしまったそうです。

    その方はお子様の国籍に対して関心をお持ちだったのですが、どうも「初めから二重国籍にできるなんて、思いもよらなかった」ようです。もしかしたら「日本では二重国籍は認められない」との情報だけを聞いて、その時点で無理だと判断してしまったのかもしれませんね。

    この情報はもっと国際結婚のご家庭に伝えるべきだと思いました。純ジャパのご家庭でも、育児や教育方針の決定は(特に母親側は)分からないことが多くていっぱいいっぱいになってしまいますので、国籍や言葉の問題も加わったらさらに大変ですよね。(お母さん側が外国の方でしたら、言葉や習慣の違いもあってなおさら大変です。)国際結婚版の「たまご倶楽部」でもあればいいのですが・・。

    突然の長文失礼いたしました。

    12:08 AM ルカ
  • 初めまして、外国籍の夫と彼の国で生活しています。大学3年の息子がいますが、彼は二重国籍を持っています。最近は22歳を達するときにも敢えて国籍選択などしなくても日本国籍を除籍されることはないときいています。(その昔、私の同級生でお父様がドイツ人でお母様が日本人、全員日本に住んでいる人がいて、22になる前に通告がきたそうで、それまではドイツ名だったのですが、日本国籍を選んで、日本名に変わった人がいました)
     夫の国はEUに入っていないこともあり、一般の旅券だと欧州などに行くときビザが必要で大変そうです。夫には別の旅券があるので幸いビザは不要ですが息子は一般所持になるので、UN学生会議などや旅行で国外に出るときは日本の旅券を使います。
     ところが今大学院に進む計画をしており、海外留学を望んでいます。本来日本への留学を希望していましたが、二重を認めないこと、日本と今住んでいる国とは使っている名前が全く違うこともあり、ややこしくなりそうだとほぼあきらめて、欧州を考えています。ところがここの大学はここの国籍で卒業することから、ここから海外へいくときもずっと日本籍として学生としては登録しないのであれば、いっそ両方とも名前をおなじにしたほうがよかったのではないか、と悩んだりもしています。国籍が二つあって、名前も両方同じ人に比べると複雑な問題が出てくるのかもしれないのかと思うと、今からでも変えられるのならそのほうがいいのだろうかと思ったりします。こういった悩みをお持ちの方とかはいらっしゃるんでしょうか・・。

    5:09 AM あいしぇ

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