ハーグ条約「武田久美子」と「4歳児スリランカへ返還」の件

2014.11.25

たて続けに「ハーグ条約」がらみのニュースがあがってきていますね。

今朝あがってきたのは、「武田久美子 ハーグ条約で制約 子どもとの帰国『元旦那のサインいる』」というもの。(時間が経つとリンクは読めなくなってしまうので、こちらのコラムの一番下にテキストを貼り付けます。こちらのコラムの下の①をご覧ください。)

武田久美子さんはインタビューで「元旦那のサインがない限り、勝手に子どもを日本に連れて帰ることもできません」(ハーグ条約参照)と話しています。ちなみに再婚相手については「できたらハーフの方とか理想的」とのプチ情報も^^

さて、もう一件、最近話題になったハーグ条約関連のニュースは、11月19日の「スリランカへ子の返還命じる=ハーグ条約で国内初-大阪家裁」というもの。(下の②のところにテキストを貼り付けます。)

こちらのケースは「日本人の夫婦」なのですね。父親の仕事の関係上、昨年から家族(父親、母親と現在は4歳の子供)でスリランカに住んでいたものの、今年になってから家族が日本へ一時帰国をした際に、母親が「子供をスリランカに戻さない」と話したため、また約束の期間を過ぎても子がスリランカに帰ってくる気配がなかったため、スリランカにいる父親(日本人)が子のスリランカへの返還を求めたのですね。

昔(日本がハーグ条約に加盟する前)なら、「子供の受験を考えて日本に留まる」というような理由が日本に残る理由として暗黙の了解で認められていたフシがありますが、今は相手(妻、夫)の同意がなければ「はっきりダメ」なのですね。

そして女性としては「夫の海外転勤に子供と一緒についていく」ことについて、これからはもっともっと慎重に考えざるを得ない時代になったのかもしれません。なんといっても、「海外生活になじめなかったら、子供と一緒に日本に戻ればいい」という考え方が通用しなくなってしまっているのですからね。・・・色んな意味で考えさせられます。

そして武田久美子さんのケースも、子がスリランカへ返還となった日本人夫婦の例も、ハーグ条約を知る上で大変興味深いです。

子供も関係者(両親など)も将来的に全員幸せになりますように。

サンドラ・ヘフェリン

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

武田久美子とハーグ条約にまつわる記事のコピペ↓

武田久美子 ハーグ条約で制約 子どもとの帰国「元旦那のサインいる」 

デイリースポーツ 11月25日(火)10時30分配信

離婚調停中の武田久美子

 離婚調停中の女優・武田久美子(46)が25日、フジテレビ系「ノンストップ!」にスタジオ生出演し、日本が加盟したばかりのハーグ条約の制約を受けていることを明らかにした。

【写真】武田久美子「恋の間口広げる」

 武田夫妻の離婚成立には今後、2人の財産割り当ての作業が残っている。カリフォルニア州では基本的に夫婦50対50の分配だが、居宅の資金をどれだけ出したかなど、専門家同士で調整している段階だという。

 年内にもう1回話し合い、来年1月か遅くても2月までには決着が着く見込みだ。

 そして離婚が成立しても、日本が今春ハーグ条約を締結したことにより、武田はその制約を受ける。「私は外国人なので、元旦那のサインがない限り、勝手に子どもを日本に連れて帰ることもできません」という。

 武田は離婚成立後はの生活拠点を「今までどおりアメリカです」と断言した。その理由はずっとアメリカで育った長女・ソフィアちゃん(12)の存在。ソフィアちゃんは日常生活で英語を使っている。日本語もなまってはいるがしゃべれるものの、実際、日本へ連れ帰ろうとしても夫のコントロールを逃れることはできない。

 アメリカでの暮らしは、武田自身が既に芸能界に復帰して仕事をしているし、夫からの生活費も入るはず。また武田は再婚相手として、「できたらハーフの方とか理想的」とまでイメージを抱いている。

 ハーグ条約とは、親権を侵害する国境を越えた子どもの強制的な連れ去りや引き止めなどがあったときに、迅速かつ確実に子どもをもとの国に返還する国際協力の仕組み等を定める多国間条約。最近日本人の国際結婚が増加、破綻後に日本人女性が子どもを日本へ連れ帰った際の扱いが各国から問題とされ、日本は条約締結を迫られていた。

 日本は今年4月1日、ハーグ条約に加盟し国内でも発効した。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「スリランカへ子の返還」の記事のコピペ↓

スリランカへ子の返還命じる=ハーグ条約で国内初―大阪家裁 

時事通信 11月19日(水)12時32分配信

 スリランカに住む日本人の40代の男性がハーグ条約に基づき、妻が無断で日本に連れ帰った4歳の子の返還を求めた審判で、大阪家裁(大島真一裁判長)は19日、申し立て通りスリランカに戻すよう命じた。
 ハーグ条約は両親の一方が16歳未満の子を国外に連れ去った場合、原則として元の居住国に戻すと規定。国内での申し立てが明らかになった初めてのケースだった。
 家裁は、両親と子が昨年2月からスリランカで生活し、子が現地で通学していたことを理由に、子の居住国はスリランカと判断した。妻は今年6月、一時帰国した際にそのまま子を留め置いていた。

コメント

  • こちらのドイツに子どもを返したケースもその後どうなっているんでしょうね。 

    5:04 PM ミックスルーツ・ジャパン
    • ミックスルーツ・ジャパンさん、
       
      そうですね、「その後」がやっぱり気になりますよね。長い目で見て全員が幸せになってるといいんですけど。★サンドラ★

      7:41 PM サンドラ・ヘフェリン
  • そうですね。じじばば世代の、「嫌になったら子供と帰ればいいじゃない」では、誘拐罪になる可能性が出てきますから、ハーグ条約にお世話にならないように、しっかり夫婦で決めておかなくてはいけなくなりました。スリランカのケースのように、日本人の子供なんだから日本で育てればいい、にはならなくなっているんですよね。でも、子供がスリランカでなじめてなくて、日本について行く気満々だった場合は!?親子共々、スリランカへ戻りたくなくなっていたら!?なんて考えてしまいます。
    たとえば奥さんが外国で馴染める自信がどうしても持てないのなら、初めから夫婦別居をした上で、子供を日本で育てるか、現地で育てるか、をじじばばが即すのではなく、夫婦で決めていかなくてはいけなくなったのですよね。うちはハーグ条約のお世話になると結果、子供が振り回されると思っているので、そうならないよう、こういった話し合いをいつもしているのですが、上記の二組の夫婦には、こういう話し合いってなかったのかな!?と思ってしまいます。
    さらに、うちの場合は家族の誰かが海外にいても、頻繁に連絡を取り合っているので、国外へ連れて行くのになんで旦那のサインがいるわけ?と思ってしまうのですが、親による誘拐を防ぐ目的なんですよね。
    ハーグ条約はどうしても欧米の価値観に沿った条約なので、日本やアジアの家庭、国際結婚家庭に関しては、無理が出てこないかな!?と思ってしまうのです。いずれにしても子供が振り回されないように、親も慎重になるだけでなく、日本の価値観に沿ったカスタマイズ?または選択肢も必要ではないか、と思ってしまうのです。

    1:09 PM Jannat
    • Jannatさん、
       
      コメントありがとうございます!またまたレスが遅くなってしまって、すみません。たしかにJannatさんが書かれているように、「じじばば世代の、「嫌になったら子供と帰ればいいじゃない」」という考え方は通用しなくなりましたね、日本がハーグ条約に加盟してからは。

      そして、

      >ハーグ条約はどうしても欧米の価値観に沿った条約なので、日本やアジアの家庭、国際結婚家庭に関しては、無理が出てこないかな!?と思ってしまうのです。

      ↑にも同感です。ハーグ条約には賛成だけれど(というか日本がハーグ条約に加盟した以上、条約は守らなければならない)、日本の昔からの文化や考え方と照らし合わせると、無理があるのは否めませんね。★サンドラ★

      7:47 PM サンドラ・ヘフェリン
  • スリランカの件はかなり微妙だと思いますね。
    子供はまだ4歳、通学していたと言っても居住期間も昨年の2月から今年の6月(一時帰国)までで、詳細は知りませんが、該当する子供の居住していた期間はスリランカよりも日本の方が長いんですよね。この状況でどこを「居住地」とするか、というのは難しい判断ですね。ご両親日本人ということですし、スリランカにこれから永住するというようなことだったらまた別ですけど、例えば数年の予定でスリランカに駐在するというようなことだったら、子供にとっては居住地として日本の方が適するかもしれないですね。両親が合意しない場合には、居住期間の長短に関わらず、「連れ去られた」時点で居住していた場所を居住地とする、ということなんですかねぇ。それよりも、「子供の利益」「子供にとってどうするのがいいのか」ということを中心に考える、という方がいいと思います。

    5:06 PM Jane
    • Janeさん、

      コメントありがとうございます!レスが遅れて失礼いたしましたm(__)m

      >スリランカの件はかなり微妙だと思いますね。

      ↑同感です。私もかなり微妙というか疑問に思いました。まさに、Janeさんが書かれていた

      >子供はまだ4歳、通学していたと言っても居住期間も昨年の2月から今年の6月(一時帰国)までで、詳細は知りませんが、該当する子供の居住していた期間はスリランカよりも日本の方が長いんですよね。この状況でどこを「居住地」とするか、というのは難しい判断ですね。ご両親日本人ということですし、スリランカにこれから永住するというようなことだったらまた別ですけど、例えば数年の予定でスリランカに駐在するというようなことだったら、子供にとっては居住地として日本の方が適するかもしれないですね。

      ↑という部分だと思います。これから、ハーグ条約がらみで色んなケースが出てくるかと思いますが、たとえばもうちょっと年齢が上の、自己主張のハッキリした子が訴えを起こしたりしたら、どうなるのかな、なんて想像してみたりもします。

      いずれにせよ、海外と接点のある人はハーグ条約から目が離せませんね。★サンドラ★

      7:57 PM サンドラ・ヘフェリン
  •  ハーグ条約における子供の扱いについてのJaneさんのご意見、よく分かります。年齢の低い子供がどちらの国/文化により馴染んでいるかという点の判断には、どうしても関係者の感情や文化的背景が絡んできますので、白黒はっきりさせるのは難しいだろうと思います。

     だからこそ、どちらかの肩を持つ結果にならないように、血も涙もない(!)法律というのものが存在するのだとも思います。

     私は、ある国で離婚問題に関わったことがあります。その時の弁護士が、「2人の間で問題が解決できなかったら、法律は『現状維持』を言い渡すことになる」と言っていました。きっとこれなんでしょうね。所謂「現状維持の原則」です。

     同じ弁護士が、「あなたたち2人の間で決着がつかなかったら、法廷で決められたことを否が応にも受け入れなければいけないんだから、お互いに妥協しながらでも自分たちで納得のいく結論を出すのが一番よ」とも言っていました。確かにその通りだと思います。

     法律にお世話にならなくていいように、どんなに辛くても話し合いを続けていくことが大事なのでしょうね。

    7:08 PM SKM
    • SKMさん、
       
      コメントありがとうございます。私からのレスが遅くなってしまって、ごめんなさい。いつもコメント下さっていてうれしいです。

      SKMさんの書かれていた
       
      >年齢の低い子供がどちらの国/文化により馴染んでいるかという点の判断には、どうしても関係者の感情や文化的背景が絡んできますので、白黒はっきりさせるのは難しいだろうと思います。だからこそ、どちらかの肩を持つ結果にならないように、血も涙もない(!)法律というのものが存在するのだとも思います。

      ↑というのを読んで納得しました。白黒はっきりさせるのが難しい事柄だからこそ白黒ハッキリさせる条約があるということですね。ハーグ条約からこれからも目が離せませんね。★サンドラ★

      7:59 PM サンドラ・ヘフェリン
  • 本項の主旨とはズレてしまいますが、今、本屋さんの店頭に並んでいる「週刊ポスト(2014/12/5)」(小学館)の「外国人が見たニッポンのTV『ここがヘン!』」に、ヘフェリンさんのコメントが載っておりました。興味深く拝読しました。

    6:03 AM terre12756
    • terre12756さん、

      コメントありがとうございます。週刊ポストの特集「外国人が見たニッポンのTV『ここがヘン!』」、読んでいただいていたんですね^^★サンドラ★

      7:38 PM サンドラ・ヘフェリン
  • 結局は法律と言うルールの限界がこの様なケースに現れるのだと思います。法律と言うのは社会における最低限のルールに過ぎず、モラルや倫理的行動の代理となるものではありません。法律を適用する際にもそのバックボーンとなる哲学や正義に対する理解、さらに究極的には博愛等の精神的・形而上学的な教養が必須だと思います。

    国際法の難しさはそこにあります。

    倫理のベースが全く違う異文化同士ではたして円滑に適用出来る法律など作成可能なのか?行き過ぎると一方の文化圏の価値観の押し付けとなりますが、逆に最低限の事しかせずに各国の文化を尊重しすぎてしまうと人権侵害を容認してしまうレベルまで無意味な法律となってしまう。

    この件のついてはこのお子さんが自分で判断出来る年齢になってからやっと正義が分かるのでは無いでしょうか。そう言う意味でも法律と言うのはそれ自体良くも悪くも無く、大した価値も無いものだと思います。さらに大きな価値のあるものはもっと高い所にあって尊いものです。

    3:25 PM テッド
    • テッドさん、
       
      わかりやすく書いてくださってありがとうございます。とくに共感したのが、テッドさんの書いていた

      >倫理のベースが全く違う異文化同士ではたして円滑に適用出来る法律など作成可能なのか?行き過ぎると一方の文化圏の価値観の押し付けとなりますが、逆に最低限の事しかせずに各国の文化を尊重しすぎてしまうと人権侵害を容認してしまうレベルまで無意味な法律となってしまう。
      ↑という部分。

      スリランカのケースに関しては、個人的にはコラムにも書きましたが、ハーグ条約によって「旦那さんの転勤先(海外)へついていった女性がバカを見る」ようになったことは否めないですね。スリランカのケースは子供が4歳ですし、常識的な考えだと、日本に帰るのだとしたら「まだ間に合う」時期だと思いますけどね。なにはともあれ難しい問題です。★サンドラ★

      7:35 PM サンドラ・ヘフェリン
  • 武田久美子さんのところはちゃんと弁護士を入れてお互いの権利、義務などを明確にした離婚をしているように見受けられます。
    実際彼女が日本に芸能活動で帰国している間は、元ご主人様が子供の面倒を見ているようなこともブログに書いてありました。
    夏休み日本に帰りたいのでサインをください。と言えば、ちゃんとサインを出してくれるでしょう。現に今年の夏にも武田さんの娘さんは一緒に日本に来ています。
    「ハーグ条約による元ご主人からのコントロール」などと言ったセンセーショナリズムはこの条約の正しい理解を妨げかねません。
    武田久美子さんにもただの話題つくりの為に、ハーグ条約が。。。などと軽口を叩くのはやめてほしいと思います。
    世の中には本当に条約を必要としている人や、条約の為に子供と離ればなれな人など、真剣に取り組まなければいけないトピックなのですから。

    2:54 PM キーキー
    • キーキーさん、

      武田久美子さんが「ハーグ条約」に触れることは全然悪いことではないと私は思っています。武田さんは国際結婚をされ、今、国際離婚の真っただ中にいらっしゃいますよね。ですので、もちろんハーグ条約は武田さんやお子さんも関係してくる事柄であるわけです。

      武田さんがハーグ条約について語っても、被害を被る人がいるとは考えにくいですが、みなさん、どう思われますでしょうか。★サンドラ★

      7:29 PM サンドラ・ヘフェリン
  • こんばんは。
    先ほどは突然お声かけしてしまいすみませんでした。
    以前からハーフのコラムを楽しく読ませていただいてます。なので声かけずにいられなかったのです..笑
    まさかのタイミングでお会いでき、少しだけお話ができて嬉しかったです。
    実物のサンドラさんはとても素敵で気さくな方でした:)
    更新、楽しみにしています。

    7:15 PM ミツキ
    • ミツキさん、
       
      きのうは声をかけてくださって、うれしかったです!さっそくコメントありがとうございました。バタバタしていてコメントの承認が遅くなってしまって、ごめんなさいね。来週また色々とアップしますので、またぜひホームページをのぞいてみてくださいね。これからもよろしくお願いします★サンドラ★

      4:34 PM サンドラ・ヘフェリン
  • 新刊の「ドイツ育ちの“ハーフ”は知っている! 日本人、ここがステキで、ここがちょっとヘン。」興味深く拝読しました。
    先日の「週刊ポスト」の記事は、この本の紹介という側面もあったように思いました。
    感想は、あらためて書きます。

    6:40 AM terre12756
    • terre12756さん、

      さっそく本を読んでいただいてありがとうございますm(__)m 明日12/8に本についてコラムをアップしますので、ぜひまた感想を聞かせてくださいね。本は明日(12/8)になれば全国の書店さんに行き渡ります。たくさんの方に読んでいただきたいです★サンドラ★

      7:24 PM サンドラ・ヘフェリン

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です