「ハーフあるある」はネガティブ?
Facebookに「ハーフあるある」というコミュニティーがあります。
何ヶ月か前にできたコミュニティーですが、
すごい勢いで人数が増えていっています^^今、メンバー数が約3500人かな。
日々の生活の中での「あるある」を、色んな国の組み合わせのハーフ達が書いてくれていて、
私もこれを読むのが日課になっていたりします。
ところで、この「ハーフあるある」のコミュニティーに関してもそうなのですが、
ハーフ同士で集まって(単なる飲み会やバカ騒ぎではなく)、経験をお互いに語り合いましょう、となり、
実際に今回のFacebookの「ハーフあるある」のように、みんなで集まって経験を語り始めると、
必ずそこには「皆さん、ネガティブ過ぎる」とおっしゃる方が出てきます。
ハーフでない人が「皆さん、話がネガティブ過ぎる!もっとポジティブな話が聞きたい」とおっしゃる場合もありますし、
ハーフ当事者が「みんな、ネガティブ過ぎる!」と言っている場合もあります。
全体的には前者が多い印象ですけどね。
さて、このことについて言いたいこと。
実は私はFacebookの「ハーフあるある」に投稿されているコメントをネガティブだとは思っていません。
たとえば先日あるフィリピン×日本のハーフの人が
「よく『カタログ語も話せる?』って聞かれるけど、タガログ語です!笑」と書いていましたが、
自分の国の言葉を言い間違えられたら、ひとこと言いたくなるのは当たり前ですし、
ユーモアも交えていい感じで投稿してくれていたと思います。
あとは、、、日本という国では日本語を話しますよね。
そしてたとえばドイツという国ではドイツ語を話しますが、
そうでない国、つまり国名と(現地の)言語が一致しない国も多く、
そういう国出身のハーフは「言語関連の質問」にやっぱりイラッとさせられる事が多いようです。
たとえば、ペルーではスペイン語を話すのに、
会う人会う人に「ペルーではペルー語を話すの?」と聞かれるペルー×日本のハーフの人々の投稿が「ハーフあるある」にも数件ありました。
エジプト×日本のハーフの方も、「エジプトはエジプト語?」と頻繁に聞かれると投稿されていました。(実際にはエジプトではアラビア語を話します。)
日常生活の中で例えば「今日もまた『エジプトはエジプト語?』と聞かれちゃったよおーーー」と思うのは人間として当たり前ですし、それをユーモアを交えて投稿するのは全く問題ないと私は思ってます。しかし同時に、こういった話を「愚痴」と受け止める方もいて、そういった方が「投稿がネガティブ過ぎる」と言うのですが、、、厳しいかもしれませんが「だったら自分がまずポジティブな内容を投稿しましょう」と私は思っちゃいます。後述しますが基本、マイノリティーの人達に対して、あまりに「ポジティブ、ポジティブ」ばかりを期待するのはアウトだと私は思ってます。
ちなみに、こういった「ポジティブ・ネガティブ」の話になった時に、私には必ず思い出すエピソードがあります。
何年か前に、東京に住む黒人女性のKさんが「日本で黒人の女性として仕事をしていく上で、いかにハードルがあるか。どのような大変さがあるか」という話を頻繁にしていたのですが、
その中で同じく黒人女性であるAさんが「あのKさんはネガティブな話が多い。」と言っていました。
確かにそうなのですが、しかし、そのKさんは日本のビジネスの世界で本気でがんばっている人でした。
逆にAさんは仕事をあまりがんばらない人でした。
仕事をがんばらない人や仕事をしていない人に「仕事に関する愚痴が無い」のは、いわば当たり前ですし、
逆に言うと、大変な状況の中、仕事をがんばっている人の場合、
とくにその頑張っている人が(上記の黒人女性のKさんのように)マイノリティーである場合、
それだけ色んな「壁」にぶち当たるわけですから、「愚痴」が増えるのも当たり前なので(人間だもの)、そこはおおめに見てあげても良いと私は思ったりするのですが、いかがでしょうか。
「あまり真剣にがんばっていない」人が、がんばっている人に対して『アナタはネガティブ』と言うのは、なんだかなあ、、、、と思うのでした。
日々だら~っとしていたら、愚痴は少なくなるかもしれないけど、進歩も無いのでは?なんて思ったりもします。
そして、もう一つ思うのは、「外側」からの批判の怖さです。
「同じ立場の人達」が集まって意見交換や発信を始めると、いつの時代にも必ず「外部」のどこからか、
「君達!もう、いいじゃないか!いい加減にしなさい。」と言う声が出てきます。
昔のアメリカの黒人の公民権運動でも、白人の一部が「もう黒人はそういう運動をやめればいい」と言っていましたし、
いわゆる「女性の立場向上」の話になると、そこでも多くの場合、女性でない人達からの「もう、いいじゃないか」という意見があったりします。
そしてそして「ハーフ」の場合も同じです。ハーフ同士が自分の体験を公表すると、必ず「もういいじゃないか。日本は国際化したんだから。昔より良くなったんだし、アナタ達はそれで満足すべき。私はもっとポジティブな話が聞きたい」的な意見が出始めます。
でも私が思うのは、Facebookの「ハーフあるある」に関しても、こちらのサイト「ハーフを考えよう」に関してもそうなのですが、「現実」とは「ポジティブなもの」及び「ネガティブなもの」の両方を含めたものであるということです。現状を変えるのが目的の一つである場合、「ネガティブ」な話が上回ることだってあります。
ポジティブな話ももちろん楽しいし大歓迎ですが、
社会のいわばマイノリティーの人達(上の例で言うと、黒人、女性、ハーフ)が自分の経験を公表しながら発信する時、
周りの人達がそこに「ポジティブなものばかりを期待する」のは「なんだか違う」気がするのです。
あ、こんなことを書いていると、またネガティブだとか言われそうですが、、、w
こ、これからも、よろしくおねがいします!
ネガティブ・ポジティブ、なんでも大歓迎です(^_^)
サンドラ・ヘフェリン
コメント
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私もサンドラさんの言う事に賛同します。
経験/体験した出来事は本当に起きたこと、現実&事実なので、どんなに「お前達はネガティブ過ぎる」と言われても、仕方がありません。
毎回「何処とのハーフ」、「半分日本の血が入っているにしてはでかいよね。」、「両親はどうやって知り合ったの?」と聞かれればこちら側からして、毎回説明するのウンザリして来るのも当たり前です。
時々録音して聞いて来る人にその録音した内容を聴かせて上げたほうが楽と思いはじめたりします。
もちろんポジティブな経験/体験も有ったりしますが、人間はネガティブな出来事に関しては結構敏感であり、トラウマとまでは言いませんが、その似た感じでイヤな思い出の方が強かったりしますし、例えネガティブに言ったつもり無いのに、ネガティブに捕らえられてしまうのも、その人が持つ耳に問題(?)なのかも?…もっと色々言いたいけれど、この辺にします。
5:28 PM yoyo -
yoyoさん
真っ先にコメントありがとうございました!
そうなんですよね、yoyoさんが書くように、そのような「現実」がある場合は、その事について語ることを周りから「ネガティブだネガティブだ」と言われても、どうしょうもないですよね。よくわかります。あの「ハーフあるある」はガス抜き(?)の場にもなっていると思うので、それはそれで良いかと。みんな普段の社会生活では吐き出せないことを吐き出している部分もあるかと思いますし。★サンドラ★3:58 PM サンドラ・ヘフェリン -
この問題は難しいですね。
情報の取捨選択というか、周囲の声がネガティブ情報が多いとき、言い換えると「かわいそう」情報が多いとき、そうじゃない話をする必要がありますが
ポジティブ情報、「バイリンガルでうらやましい」などが多いときは、ネガティブ情報を出す必要があると思います。要するにバランスの問題かと
また、受け取り方も違うのでややこしい。自分のサイトには、ハーフ以外の方から涙が出た、という感想が来ることがありましたが、泣く要素なんて全然ないはずなのに、そういう感想が来たときに驚かされました。
「もういいでしょう」発言をする人は、ハーフ当事者ではない場合、どこか思い当たる節があって、痛いところを刺激されるから、こういう発言をするのでしょう。
ハーフ当事者の場合、思い出したくない事柄を思い出してしまうから、もうやめて欲しいと言うのかもしれません。
これまで似たようなことを言われてきたので、いちいち気にする必要はないと思います、としか言えません。以前は、そういう方々の説得を試みましたが、いまはやめました。
サンドラさんには、そういう意見の発信者の分析をして貰いたいな、と思う次第です。
6:28 PM Hyoue Okamura -
Hyoue Okamuraさん
興味深いコメントをありがとうございます☆
書かれていた
>情報の取捨選択というか、周囲の声がネガティブ情報が多いとき、言い換えると「かわいそう」情報が多いとき、そうじゃない話をする必要がありますがポジティブ情報、「バイリンガルでうらやましい」などが多いときは、ネガティブ情報を出す必要があると思います。要するにバランスの問題かと
↑に同意です。ほんとう「バランス」の問題ですよね。たとえば、「ハーフあるある」のサイトや「ハーフを考えよう」のサイト「だけ」を見たら、「ネガティブな情報が多いな」と感じるのかもしれませんが、テレビや雑誌などで「ハーフ=華やか」を思わせる情報量が多い場合、あえて「ネガティブ」な情報を詰め込んだサイトがあっても、「全体」を見た時には、ちょうど良いバランスなのだと思います。
>「もういいでしょう」発言をする人は、ハーフ当事者ではない場合、どこか思い当たる節があって、痛いところを刺激されるから、こういう発言をするのでしょう。ハーフ当事者の場合、思い出したくない事柄を思い出してしまうから、もうやめて欲しいと言うのかもしれません。
↑そうですね。人間、痛い部分が見えた時(あるいは見えそうになった時)、そこから目を背けるか、それか、それに正面から向かっていくか、という方法がありますよね。もちろんネガティブな事からは目を離し、ポジティブな事にだけ集中する良さもあるとは思うのですが、このテーマ(ハーフ)に関して私はそれはできません(笑)
>サンドラさんには、そういう意見の発信者の分析をして貰いたいな、と思う次第です。
↑そうですね、機会あれば対話してみたいと思ってます。★サンドラ★4:00 PM サンドラ・ヘフェリン -
う~ん、これは確かに単純な問題ではないです。ハーフに限らず、人間、生きていればいいことも嫌なこともあると思っています。なのでサンドラさんに同意です。
だからポジティブなこと「ばかり」でもよくないし、ネガティブなこと「ばかり」でもよくないので、両方混在しているのが理想だと思います。そういう私もあまり人のことは言えなくて、ネガティブになりやすいのです。
「ネガティブ過ぎる」という意見も多いのですが、ネガティブなのってそんなに悪い?と思うし、「もういいでしょ?」というのは当事者の気持ちを無視していると感じてしまいます。バングラデシュも昔に比べて知名度は上がったとはいえ、未だに「バングラデシュって何語話すの?」と聞かれます。公用語はベンガル語です。私達夫婦にムスリム夫婦のイメージとどうしても結び付かないらしく、あからさまに驚かれることは日常茶飯事です。
ハーフだって色んな組み合わせの人がいるし、一人ひとり全然違うと思うので、ネガティブなコメントが出てきても、そんなものかな、そういう考え方の人もいるのか、と思っています。
11:00 PM Jannat -
Jannatさん
コメントありがとうございます☆
>ポジティブなこと「ばかり」でもよくないし、ネガティブなこと「ばかり」でもよくないので、両方混在しているのが理想だと思います。そういう私もあまり人のことは言えなくて、ネガティブになりやすいのです。 「ネガティブ過ぎる」という意見も多いのですが、ネガティブなのってそんなに悪い?と思うし、「もういいでしょ?」というのは当事者の気持ちを無視していると感じてしまいます。
↑私もドイツ出身のせいか(笑)ネガティブな話や後ろ向きの話は大得意です(苦笑)こんな私ですがこれからもよろしくお願いします★サンドラ★4:04 PM サンドラ・ヘフェリン -
はじめまして。私はハーフではないのですが、二重のアイデンティティに悩むことがあるという意味では似ていると感じている沖縄出身(18歳まで)東京都在住(15年)のものです。サンドラさんの著書を知り、このHPを愛読させていただくにつれ、私が長年感じてきたモヤモヤの正体が明らかになっていく気がしています。たぶん、ハーフほどではないけれど「純日本人じゃない」枠に入れられがちなので。
もう典型的なリアクションには慣れましたが、特に上京して数年間はあまりのカルチャーショックに驚き悩み、友人たちから「ネガティブだ」というようなことを言われたこともあります。「そう?そんなに悩むことないのかな…」と思うこともあれば「そうじゃないのに!」と余計にストレスが溜まることもありました。
自分が理解しやすいように話を持っていかないと気が済まない人は多いなと感じます。自戒も込めて。
別に無理に解決したり理解しようとしなくてもいいから、その人が現実に味わっている「違和感」としての「ネガティブさ」をそのまま受け取ってみる、想像してみる、余裕があったら分析してみる、というふうにできれば、もう少しみんな生きやすくなるんじゃないかなーと思っています。3:50 PM Iza -
たくさんの方が傷ついているんだと思います。
それを頑張ってポジティブ、ネガティブ話にしているのかな。
本当は共感してもらえたらいいなと思います。12:31 AM さいとう -
ネガティブかもしれないけど、感じたことを素直に口にしたら、すっきりして、気持ちがいつのまにかポジティブになってることってありません?
ネガティブでもいいじゃないですか。それを言える、吐き出せるっていうのは、とてもいいことだと思います。
ただFBのようにいろんな人が見たりコメントしたりするところでは、共感意見も出てくるでしょうが、そうではない意見、しかもすべてを否定するようなコメントもあったりして、さらにネガティブな気持ちになり凹むこともあるかも。
ハーフの息子や娘がその容姿からまわりから言われたことを家で話すことがあります。嫌な気持ちになっているときは、いっしょに嫌な気持ちになり、「ハーフなんだから当たり前だよね。」という態度のときは、いっしょにそのような気持ちになり…ってしてるけど、いつか「ママだって僕の気持ちはわからない。」と思う日がくるのかもしれないなぁ。そういう日がきたら、このサイトをいっしょに見ようかなと思います。3:39 PM JM