言葉と文化は切り離せない

2011.9.2

子供の頃から子供に英語を習わせると

発音がネイティブ並みになるからと

子供を海外留学させる親が増えているみたいですね。

私が観察して面白いな、と思ったのは、

「英語は覚えてきてほしい」のに

「現地の生活習慣は覚えてきてほしくない」

親が意外にも多いこと。

親本人も自覚していない場合が多いのですが。

たとえば、英語圏の国に留学をした子は現地で英語も覚えますが、

現地で友達も出来てその友達と仲良くなると

「歩きながらハンバーガーを食べる」

「歩きながらリンゴを食べる」

「歩きながら飲み物をラッパ飲みする」

「女の子なのに床にアグラをかいて座る」

「十代のくせに大人のような香水をつける」

ことがあり、

これらのことを日本人の一部の親は快く思わないようです。

でも・・・言葉を「現地」で覚えさせる、ということは

現地の生活習慣も覚えてくる、ということ。

そこで「切り離し」はできないのです。

むしろ、私は上に書いたような行為の数々をおぼえてくる、ということは

現地で友達もでき溶け込んでいる、ということなのですから

喜ばしいことだと思います。

たしかに日本の「お行儀」の観点から言えば問題なのですが、

観点を変えて考えると、

お行儀とはそもそもその地域での習慣や行儀であって、

良い悪いの問題ではないので、

お行儀が悪いからと言って、最悪!と決めつけるのは早過ぎるかもしれません。

現に日本ではお茶碗は手に持って食べる、

でも韓国ではお茶碗はテーブルに置いて食べる、

という分かりやすい違いもあるように

お行儀は場所変われば全く変わるものです。

長くなりましたが、私が思うのは「現地で英語は覚えてきてほしいけど、日本人としてお行儀の悪いことは覚えてきてほしくない」というのは一見マトモな考えのように聞こえますが実は親のエゴなのではないか、ということ。

言葉と文化はお互いに切り離せないもの。

上に書いたような「ラッパ飲み」が「文化」かと聞かれると微妙なところではありますが、現地の人の生活習慣であることには間違いないでしょう。

歩きながらモノを食べることだってそうです。

「女の子なのに床にアグラをかいて座る」に関しては、ある意味、女性差別がない、という事でもありますし観点を変えて考えれば喜ばしいことだとも言えるかもしれません。

香水だって日本だと十代の子がつけるのは「??」ですが、ヨーロッパでは普通です。

親としては、「将来、日本で生きていくのだから、日本人として恥ずかしいことはしてほしくない」のでしょうが、それも留学した本人が日本に帰ってきて、周りを見れば、日本には日本のマナーがあり、外国には外国のマナーがある、という事が理解できるでしょう。そしてそこでどう行動するかは本人次第。

言いたかったのは、英語は話してほしい、でも中身は日本人のままでいてほしい、

とか

ドイツ語は話して欲しい、でもドイツ人みたいにゴツクなってほしくない、

とかそういった願望は親のエゴの部分が大きい、ということ。この際、子供が「生粋日本人」か「ハーフ」かはあまり関係ないのかもしれませんね。

・・・言葉に文化はもれなくついてくる、というお話でした。

                                       サンドラ・ヘフェリン

コメント

  • 郷に入れば郷に従え、それが対応力や順応性ってものだよね。

    子供って本当に残酷だし、子供にも社会はある。その子供の社会に馴染まないと仲間はずれやいじめられることになって大変。

    重要なのは、子供の社会というのは、大人は入れないって事。(入れると思ってる親が多いけど、実際は無理)

    子供にとっては、周りを見て雰囲気を察して必死でそこに馴染もうとしていて、それが急に住む国が変わると、今までの事が駄目!っていう雰囲気を感じてまた馴染もうとする。。。対応していくのも大変だよね。

    ハーフの家庭や、海外赴任が多い家族とかは他の家庭より、より深い理解やコミュニケーションや、子供を1人の人間として扱うってことが必要なんだろうね。。。

    2:18 PM Yukari
    • Yukariさん
      「郷に入れば郷に従え」・・・たしかにこの通りでいけば、ドイツにいれば自転車に乗りながらリンゴを食べるのが自然な流れかもしれません(笑)
      Yukariさんも書いていたけど、子供にも「社会」がある。子供もその社会に馴染んで初めて受け入れてもらえる。それを大人がいわば「外」から「でもアナタは日本人なんだからやめなさい!」とあからさまに言うのはよくないですね。そう、移動族(ハーフの家庭や帰国子女、海外赴任が多い家庭)には、「言葉」の問題のみならず「文化」の問題もついてくるので、これは本当の意味で親子の関係がよくないとこれを乗り越えるのは中々むずかしいのかもしれません。★サンドラ★

      12:14 PM サンドラ・ヘフェリン
  • 「現地の生活を覚えてきてほしくない。」という親が多いとは知りませんでした。何となく嘆かわしいことです。これは「外国の文化に触れて吸収するのをやめてほしい。」と言っているに等しいと思います。子供は外国に行けば大人以上に、人々の考え方や自然に対する接し方などに触れ、その国の人々の価値観や人生観を学ぶのだと思います。そしてその中の良い経験が後の人生に大きくプラスになるにちがいありません。ここに書かれている「生活習慣」や「お行儀」はそれらの「文化」の現れのごく一部でしかなく、広い文化と切り離してそれだけ止めろというのは無理な話だと思います。外国で勉強する一番の意味は「文化」を学ぶことであって、語学だけであれば国内で工夫してできないことはない訳ですから。それにここで議論されている生活習慣やお行儀は、かなり短期的に変わりうるものであって、たとえ親の気に入らない“悪いお行儀”を覚えて来ても大人になってもずっと続くものでもないと思います。外国で子供を勉強させる親は、変な制約を課すことで、子供たちがのびのびとそして広く「外国文化」に触れるのを妨げないことが大事だと思います。

    11:04 PM JUN
    • JUNさん
      JUNさんが書かれている通り、お行儀の問題は本人が日本に来た時に周りの空気を読めば改善される事ですよね。なので、大人になってから周りの状況を見ながらやっていけば、その国のマナーについて自然と気付きますし。あまり子供の時や10代に親がガミガミ言う必要はないのかと思います。
      なんだか変なたとえですが、自転車に乗ってリンゴを食べたり、歩きながらパンを食べるのは例えばドイツでは普通です(お行儀悪くない)ので、それに過剰反応して子供に「ああいうお行儀悪いことはやっちゃいけません!!」と言うのは実はドイツの文化を本音の部分では見下している、ということかもしれない。少し言い方を変えて「ドイツではみんな自転車に乗ってリンゴを食べているね。でも日本人にとっては見ていて不快になるものだし、お行儀悪いことだから日本にいる時はやめようね。」という言い方ならだいぶ違います。後者のほうを言ってくれる親が世の中増えれば将来国際交流も上手くいくのかもしれません★サンドラ★

      12:07 PM サンドラ・ヘフェリン
  • おお、これはまさに私が子供時代に苦しんだこと。今みたいにインターネットもない時代は、海外と日本を転々とすると当然ながら「今住んでるところ」の言語や文化が第一になってしまいがちだった。常に転勤するから、一貫性を持てずにあちこちの言語や文化を教育や生活を通じて身に着けるわけだから…しかし親は「あなたのアイデンティティーは日本だ」と言い続けて家庭内では徹底して日本の生活と言語中心。私の日本人である部分を忘れないようにプッシュしてきたし、それは子供が日本に帰っても困らないようにという親心としてはよくわかるけど…複数の言語に順応しつつひとつだけの文化にアイデンティティーを持つなんてありえない…しかしそれをなかなか周囲はわかってくれなかったりするな~。

    12:05 AM N☆
    • N☆さん
      むずかしいですよね。しつけをキチンとしたい、と思う親こそ、子供のお行儀も教育するわけですが、言い方一つでだいぶ違うのだと思います。「外国人はお行儀悪いから、アナタは日本人だしそんなのマネしちゃダメよ」という言い方をしてしまうのは、外国人をあからさまに悪く言う、そしてそれを子供に教えてこんでいる、という意味で問題だと思いますが、言い方をちょっと変えて、例えば「ここ(外国)では皆そうしてるけど、日本にいる時はそれはお行儀悪いことだからやめようね。」と言うのは正しいと思う。移動が多いと親も子も大変ですね。特に二つの文化の狭間に立たされる子供は大変。★サンドラ★

      11:57 AM サンドラ・ヘフェリン
  • 親世代にこれをいくら言っても分からないでしょうね。お金さえ出せば親が望む教育を子供に与えてやれる、と信じて疑いませんから。
    だけど現実的には親にしてあげられるのは金銭的なサポートだけ。あとは子供次第です。それが分かってない親はあまりに多い!
    早いうちからヨーロッパとアメリカで過ごしたので欧米的な価値観が体に染みついています。ずっと日本人のままで向こうで過ごすのははっきり言って無理があります。10代の子供が向こうで過ごすということは日本語も英語(または現地の言葉)が中途半端になりやすい時期でもあるし、日本人でも現地の人のものでもないアイデンティティが自然に出来上がるため、本人は物凄く悩むんです。
    本当は親が理解してあげるべきところでしょうが、「みんな日本人」の環境で育った親は、自分の子供が外国人になるのは理解できないし、子供が遠くへ行ってしまうような気がするようです。だから「あなたは日本人!それ以外にはなれない!」という自分の考え方を押しつけがち。私は15年以上、「自分にはアイデンティティがない。日本人でも欧米人でもない。どちらにもなれない中途半端な人間」と思い込まされてきました。
    だからなのか、現地でどう振舞ったらいいのか分からず、日本人にも欧米人にもなれず、語学に関してもどちらもきっちり読み書きができないというコンプレックスから、常に孤立していました。親が言うようにどこへ居ても日本人であるべきという考えと、そこまで日本人になりきれない自分はダメだ、と常に思っていました。
    今でも「冷たい、空気が読めない、言うべきことを全部言わないと通じない」と欧米では問題にならないことを大問題にされます。
    あと、語学の問題ですが、親世代は未だに語学を「話せる、基本的な読み書きができる」ことに満足してしまい、それ以前に専門性が必要、ということが理解できていない気がします。語学だけならばネイティブスピーカーのほうができるに決まっています。ネイティブじゃない私たちの場合は専門知識が必要不可欠になります。語学はツールに過ぎないと思うので、それからでも遅くないと思うのですが、語学ができない日本人があまりにも多いためか、変な危機感がある感じがします。
    今考えると私の親も例にもれず、言葉と文化を見事に切り離して考えていたのでしょうね。
    私のアイデンティティは日本でも欧米でもなく、いろんな文化を身に付けた「私自身」がアイデンティティ。本来は自分自身のアイデンティティを証明するのに戸籍も国籍も必要ありません。それがなくても私自身はなくなりませんから。
    それに、私は今でも周りが言うほど語学に堪能だとは思っていません(謙遜でもなんでもなく)。気持ちの上では英語も日本語も中途半端な子供の時のままです。

    8:47 PM Jannat
    • Jannatさん
      Jannatさんが書かれていた「お金さえ出せば親が望む教育を子供に与えてやれる、と信じて疑わない親が多い」、という点ですが確かにその考え方の親は多いでしょうね。だから「英語やドイツ語は覚えてきて!でも外国人のお行儀の悪いことはマネしないでちょうだい。」なんて当たり前のように子供に言っちゃう。これも言い方次第で、「日本ではこれはお行儀悪いことだから日本ではやめましょうね」とか「日本人のお友達といる時は気をつけましょうね」という言い方であれば問題ない(むしろ正しい)と思うのですが、あからさまに「外国人はお行儀が悪い!ウチの子にはマネしてほしくない!」と言うのはいかがなものでしょうか。そういう事を聞いて育つ子供が将来「外人はお行儀が悪い。外人はどうこう」と決めつける傾向にあるんだと思いますよ。親が堂々と「外国人はどうこう!」と言っていると、子供も将来大きくなってそういう事を大きな声で口にする事に疑問を持たなくなる恐れがあると思います。 

      あと思うのは、ハーフ、帰国子女など、子供の頃から二つの文化の狭間で育った人と、大人になってから転勤などで外国に行った人(プラスその配偶者)とでは、「文化」に対する感覚がある意味違うのでしょうね。たとえば自分が30歳までずっと日本に居て、夫の転勤で初めて外国に行った奥様は「外国人はお行儀が悪い!」なんて事が平気で言えちゃう人も一部にいますが、小学校時代から仲の良いお友達が外国人だった子で、現地の友達とすごく良い関係にあり思い出も沢山ある人はそう簡単に「外国人はお行儀が悪い」とか「外国人はどうこう」というような、外国人に対してある意味「残酷」な言い方はできないのだと思います。★サンドラ★

      11:37 AM サンドラ・ヘフェリン
  • 私がまさに20代後半で英国に大学院留学するまで、外国に住むなんて考えた事の無い日本人です(笑)。イギリスでドイツ人の夫と知り合って、今2人の男児をスコットランドで育てています。

    >「日本ではこれはお行儀悪いことだから日本ではやめましょうね」
    そう、これは大事ですよね。国が違えば作法が違う事、これを根気づよく教えて行く事は楽じゃないけど大切だと思います。

    あと、横ですが、N☆さんの家庭内では日本語と日本文化、いったん外に出ると全く違う文化の中で生活する暮らし、大変だったと思います。私は日本語補習校で教えているのですが、私も生徒の中にも同じような環境で育っている子供達がいます。他人事のように聞こえるかもしれませんが、外から見ると、二つの文化の間で育っているその子は日本のマナーも言葉も、そして現地のマナーも言葉もしっかり身につけた、本当に素晴らしい子供達です。本人の中には葛藤もあると思います、そういう部分をせめて教室の中で受け止めてあげられたらと思います。

    私も、子供が日本人でもドイツ人でも、スコットランド人でもあるとも言えるし、そのなかのどちらでもないとも言える中で、どう自分のアイデンティティーを認識して行くのかという事は興味もあるし、また本人の苦悩を思うと可哀相にも思います。

    スコットランドにも両親が日本人だけど、現地で生まれ育って、地域のバグパイプ(民族楽器)のコンペティションで優勝した子がいます。
    夫の地元の大学に在籍している空手のドイツ代表選手も、日本人の両親を持つ、ドイツで生まれ育ったドイツ国籍の男性です。

    私は自分が生まれ育った日本が一番!と常に思っている保守的な日本人ですが、やっと最近になって、親としては本人の気持ちを一番大事にしてあげようと思うようになれました。親として出来る事は、一緒に子供と悩みをシェアする事かな…と。

    9:07 PM 山ちゃん
    • 山ちゃんさん
      コメントありがとうございます☆うれしいです。スコットランドの日本語補習校で教えてらっしゃるのですね。海外の補習校は私もお世話になり良い思い出が多いです。そうなんですよね、私たちの立場の人は、言葉の問題だけでなく文化の問題も大きいので、そのあたりの事を分かってくれる先生がいると生徒も心強いですよね。
      私も友達のハーフに3つの文化に囲まれている子を何人(なんにん)か知っていますが、山ちゃんさんのお子さんのように日本とドイツのハーフでスコットランドに住む、となると、また私がした経験(私は物心ついてからは二つの国、ドイツ&日本にしか住んだことがない)とは違う経験を沢山するのでしょうね。でも、お子さんと一緒にお子さんの立場の悩みをシェアしてあげることが親としてできる最高のことだと思います^^これからも交流よろしくお願いいたします★サンドラ★

      3:31 PM サンドラ・ヘフェリン
  • 私は日本にしか住んだ事が無いのですが、中国に行ったら自然と中国の文化に馴染んだりしている自分がいます。
    そういえば、日本にいたらお行儀が悪い事、母親も中国に行ったら注意はしていないなぁって思いました。
    サンドラの内容とは少し違う事について書いてしまったかも;
    michiyo

    4:21 PM michiyo
  • 遅いコメント失礼します!

    言葉だけ、なんてちょっとあつかましい!
    って思っちゃいました。

    「郷に入りては郷に従え」だと思います。

    欧米ではキスしたり
    抱き合ったりが普通だけど
    留学していてそれを避けるのはめちゃくちゃ
    難しいと思いますよ!
    逆に言語だけ覚えて帰るのは至難の業では???

    7:55 PM ヴィクトリア
  • 確かに、言葉と文化は切り離せないな…。

    アメリカは西部の荒れくれ気質があるのか、こんなに呆れるような卑罵語が…。

    アメリカの七つの最大級の卑罵語は文字通り訳すと↓

    1. Shit(糞)

    2. Piss(小便)

    3. Fuck(性交)

    4. Cunt(女性器)

    5. Cock sucker(睾丸しゃぶり)

    6. Mother fucker(母親犯し)

    7. Tits(胸)

    他にも

    Ass(尻)

    Dick(XXXX)

    Asshole(尻穴)

    Asslicker(尻舐め)

    等がある…。

    日本語は卑罵語が少ない言語だと言われていますが、これはあんまりだー(爆)

    9:37 AM Maria

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