Vol.4 ハーフ=お嬢様?

2008.9.15

世間には「ハーフ=お嬢様」ってイメージが浸透しちゃってるみたい。

たしかにテレビに出てくるハーフは「お嬢様」が多いもんね。森泉ちゃんなんかは「おばあさまは森英恵」というお嬢様ハーフの典型のようだし、滝川クリステルさんも恵まれた環境に育った印象を受けるし、マリエは超リッチらしいし、梅宮アンナもブランドの匂いがする!!そんなこんなで、テレビにリッチ&お嬢様系のハーフが紹介されることが多く(←「バリバリバリュー」だっけ? お嬢様ハーフがいっぱい出てきて、豪邸の紹介をしてる番組!)、そのお陰でそんな「ハーフ=お嬢様」ってイメージが広がっちゃって、庶民ハーフは困ってるんであります(怒)。だって、みんな自分の想像でしゃべってるんだもん!!

このあいだなんて私、「ドイツではお城に住んでたんですかぁ? なんかお城に住んでるイメージ」と言われました^^; 冗談だとは思いますけどね。いや、でもそれはともかくとしても、実際「プール付きの家に住んでそう」とか「シェパードを飼ってそう」とかいろんなイメージがあるみたい。

こういう発想ってけっこう知識人(?)にまで広まっていて、ある国立大学の教授(東大卒)なんて、生活費を全部自分で出していたハーフの学生(イタリアと日本のハーフ)に対して「え? キミは全部自分で出してるの? 君はイタリアだっていうから、裕福なところのお嬢さんかと思った」と言ったらしい。その子は「イタリアは国自体が破産寸前(?)なのに、どこから『裕福』&『お嬢様』って発想が出てくるのかがわからない! 日本の戦後の『欧米=みんな裕福』と同じ、完全な欧米コンプレックスなんじゃないの!? 」と怒っておりました。

今、日本は格差社会なんて言われてるでしょ。貧乏⇔裕福の差が段々激しくなって。その格差はハーフをも直撃しているのであります。ハーフの場合、むしろその差がハッキリ出やすい、というか二極化しやすい傾向があるんじゃないかな。つまり、ハーフの中には本当に「お父様は外交官、お母様はピアニスト、学校はずっと私立校&アメリカンスクール、日本語英語ドイツ語がペラペラのトライリンガル」という、家庭環境によって教育も何もかもが保障されているハーフがいる一方、「お父さんは米兵で私が生まれる前にどっかに行っちゃって、お母さんはずっとスナックで生計を支えてきた、学校は地元の公立校、言葉は日本語のみで英語はできない」というように生まれながらにして人生の厳しさに直面し、強く生きていかなければならないハーフも大勢います。

ハーフは生まれた環境によって、その後の可能性や能力にかなり差がつくことが多く、これを私は不公平だなー、と思っているのであります。もちろん、格差はどこにでもあるものなので、ハーフに限ったことではないのだけれど、生まれがお嬢様なハーフは将来バイリンガルやトライリンガルになれる確率が高いし、イジメに遭う確率も比較的少ない、と私は見ている。凄く悲しい現実だと思うのです。だって、バイリンガル教育って結局、とてもお金がかかるんだもん。英⇔日のバイリンガルにするにはアメリカンスクールやインターナショナルスクールに通うのがベストだけど、それには学費が年に何百万もかかるわけだし。前回取り上げた「ハーフに対するイジメ」。これもアメリカンスクールより、日本の公立校のほうがイジメが発生する確率は高いしね。特に地方ではそれが顕著。困ったことに、日本の公立校に通ってるハーフに対して周りは平気で「ジェニファーちゃんは、どうしてアメリカンスクールに通わないの!? 」なんて聞いてくるし。「インターは高いので……」なんて答えられる訳ないのに……。

以上、ドイツのお城に住んでいないサンドラの独り言でした~。

サンドラ・ヘフェリン 【扶桑社『マリカ』2008年9月号】

コメント

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です