名前とアイデンティティーの大事なお話

2021.7.21

関東も梅雨明けしましたね。毎日暑いですが、みなさんお元気にしていますか?

昨日、気になるニュースを見つけました。

こちらです。

児童に勝手な朝鮮名 東大阪市立小の民族学級、保護者の明確な同意得ず

時間が経つとリンクが見れなくなるので、記事の本文をこちらの下の部分()に貼り付けますね。

記事を要約すると・・・日本の名前がある日本国籍の子供が、自分や親の意思が確認されないまま、民族学級(市立校の課外活動)で先生らに朝鮮名をつけられたというもの。結果として生徒は民族学級以外の学校生活においても担任の先生や同級生から民族名で呼ばれるようになってしまった、ということのようです。

この話のポイントはやはり「本人」や「保護者」の意思確認を行わなかったことだと思います。

そもぞもなぜ私がこの記事に興味を持ったのかというと、形は違いますが、私自身にも「名前」について苦い思い出があるからです。

今までも何回か書いてきたことですが、私には生まれた時から日本名の「里美」、そしてドイツ名の「アレキサンドラ」(省略:サンドラ)があります。

子供の頃、ミュンヘンで友達(ドイツ人)に「サンドラって呼んでね」と言っているのに、日本名があると聞きつけたドイツ人の子供が勝手に「ザトミ~」(ドイツ語の発音だと、サトミではなくザトミとなるのです。。。)と呼び始める、ということが度々ありました。

「ザトミ~」と呼ばれたり、これまたドイツ流の発音にちなんで「ザトーミ」と呼ばれたり。

でも問題は発音だけではありません。私が「こう呼んでほしい」という名前を無視して、こちらが公表していない別の名前で呼び続けるという行為に対して、子供心ながらに物凄い怒りを感じました。40代半ばの中年になった今も当時の怒りを思い出すことができるぐらいです。

「ザトミ~」や「ザト~ミ」そして時には「ザートミ」と言われ、もちろん抗議しました。「ドイツ語の名前のサンドラで読んでほしい」と。

ところがそこで素直に「わかった。ごめんね。」と答える人は皆無でした。相手の言い分はこうでした。

「サンドラよりザトーミのほうが綺麗な名前だし、エキゾチックな名前で貴女に合っていると思う」

↑このように勝手な理由を述べられ、しつこく「ザト~ミ」と言い続ける子もいました。最終的には確か親が介入して、呼び方は「サンドラ」に戻ったと記憶しています。

言いたいのは、いくら相手が「エキゾチックだから」「あなたに合うから」と、あくまでもポジティブな理由からその子をそう呼んでいたとしても、本人の意思確認が無いまま呼ぶのはダメということです。

民族学級に関しては、先生らが朝鮮のルーツに誇りを持ってほしいと「よかれ」と思って、そのような呼び名にしたのだと想像します。

しかし、この「よかれと思って」は、このような問題を孕んでいることが少なくありません。

子供のアイデンティティーについて、子供から相談もされていないのに、大人(先生など)が勝手に子の「ルーツ」を引っ張り出して、「誇りを持ってください!」とやってしまうのは最も避けるべきことだと考えます。

子供がどのアイデンティティーを持っても、それを静かに応援してやるのが教育者の役割だと思います。

私自身は日本×ドイツのハーフですが、幸いなことに、子供時代にドイツ人の大人に「日本のルーツを誇りに思いなさい」とか、日本人の大人に「ドイツのルーツを誇りに思いなさい」と言われたことはありません。ただ「日本とドイツの両方の国に誇りに思いなさい」というようなことはよく言われました。「日本とドイツの架け橋になってほしい」とも。それだけでもプレッシャーだったのですから、直球で「○○のルーツにこそ誇りを持ちなさい!」と言われたら、きっとプレッシャーとモヤモヤに押しつぶされそうになっていたと思います。

記事にある民族学級に関しては、学校関係者の中にも「朝鮮にルーツがある人なら通称名があるはず」という「思い込み」があるのも問題だと感じます。記事の中の以下の部分を読んでそう思いました。

≫一方、学校側は民族学級に参加する児童の家庭を訪問するなどし「名前を朝鮮語で呼んでもいいか」と確認も実施。取材に応じた前述の母親の元にも担任教諭と民族学級を受け持つ韓国籍の男性講師が訪れた。この際、母親が朝鮮語で呼ばないよう求めたのに対し、講師は「通名じゃない姓を教えてもらえないか」と発言したという。母親は「子供は元から日本名で通名はない。なぜそうしたことを聞いてくるのか全然理解できない」と憤る。

多文化共生は、人に決まったアイデンティティーを強制されることではないはず。

このニュースを読んで強くそう思いました。

皆さんはどう思われますか?

サンドラ・ヘフェリン


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児童に勝手な朝鮮名 東大阪市立小の民族学級、保護者の明確な同意得ず
7/19(月) 20:19配信

保護者らの抗議を受け、学校が全校児童の保護者にあてた文書。普段の教室で民族学級の児童を朝鮮名で呼んでいたことは触れられていなかった

大阪府東大阪市の市立布施小学校の課外活動「民族学級」で、在籍する児童について日本国籍で日本人名を使って生活しているのに学校側が勝手に朝鮮名を付けて呼んでいたケースがあったことが19日、学校などへの取材で分かった。日本名の文字を朝鮮語の読み方をして呼んでいたという。これについて保護者側の明確な同意を得ておらず、学校側は抗議を受けて対応を改めた。学校側は「保護者に説明したつもりだったが、了承を得る取り組みが不十分だった」としている。

学校などによると、民族学級は国際理解を深めることを目的とした課外活動。同市内では数十年前に始まったとされる。放課後に開かれ、この学校では韓国籍の常勤講師らが担当し、児童約70人が在籍。大半が親ら血縁者に朝鮮半島にルーツがあり、学級では「母語、母文化を忘れないようにする」として、朝鮮語の読み書きや文化を学習している。

この学級をめぐり、例えば児童の日本名が「花子」なら朝鮮語の読み方として「ファジャ」と呼ぶように、本名が日本名でも半島にルーツがあれば朝鮮語で呼び合っていた。さらに、こうした対応について、学校側は就学前の家庭訪問などの機会に伝えていたとするが、保護者に朝鮮名で呼ぶことの可否を確認せず、書面などで許可を得たこともなかったという。

普段の教室でも担任教諭が民族学級の児童に付けられた朝鮮名で呼び、同級生も同じように呼ぶことがあった。一部保護者が過去に学校側に問題を指摘したが、「ルーツに誇りを持ってほしい」などと対応は変わらなかったという。

今年6月、市選出の西野弘一大阪府議がツイッターにこの問題に疑問を呈する内容を投稿。保護者らが改めて抗議したところ、学校側は「今後は勝手に付けた名前で呼ばない」と返答したという。さらに、全校児童の保護者に「本名を大事にする教育活動を徹底する」との書面を配布した。

民族学級に児童が通っていた保護者の一人は「子供は日本籍で名前は一つしかない。子供の人権が全く守られていない」と憤っている。

■普段の教室でも使用

「子供を学校に迎えに行ったとき、クラスの同級生から『〇〇(朝鮮語読み)のお母さん?』と呼ばれて衝撃を受けた」。この学校の民族学級に子供が参加する母親は、取材にこう明かした。

母親によると、親族に朝鮮半島にルーツがある人がいることから民族学級に在籍しているが、子供は日本国籍で、日本名で生活している。そもそも朝鮮語読みする名前はない。それなのに民族学級では学校側に勝手に付けられた朝鮮名で呼ばれていた。母親は子供に「嫌ではないか」と尋ねると、「嫌だけど(民族学級の児童は)みんなそう呼ばれているから」と答えたという。

別のケースでは、母親がルーツを子供に伝えていなかったにもかかわらず、学校で子供は朝鮮語の名前で呼ばれていた。「朝鮮語読み」をやめるよう学校側に訴えたが、今まで改まることはなかったという。

校長は取材に対し、保護者の求めがあっても子供の心の揺れ動きを慎重に見極める必要があるため、朝鮮語読みをすぐにやめるのは難しかったとする。

今年6月上旬、今回の問題がSNS(会員制交流サイト)を通じて知られるとともに、一部の保護者が学校側に本名以外で呼ばないよう改めて求め、学校側は「本名を大事にする」との文書を保護者に配った。

■母親憤り「子供は元から日本名」

一方、学校側は民族学級に参加する児童の家庭を訪問するなどし「名前を朝鮮語で呼んでもいいか」と確認も実施。取材に応じた前述の母親の元にも担任教諭と民族学級を受け持つ韓国籍の男性講師が訪れた。この際、母親が朝鮮語で呼ばないよう求めたのに対し、講師は「通名じゃない姓を教えてもらえないか」と発言したという。母親は「子供は元から日本名で通名はない。なぜそうしたことを聞いてくるのか全然理解できない」と憤る。

学校は家庭から申し出があった児童については、朝鮮語の名前で呼ぶことはやめたとしている。

市教委は6月以降、民族学級に参加する児童の家庭のうち、朝鮮名を呼ぶことに完全に同意している家庭以外に聞き取りを実施。市教委によると、最も多かったのは「子供がOKなら」との回答で約5割。「本名以外で呼んでほしくない」と答えたのは約1割で、「朝鮮語でぜひ呼んでほしい」としたのは「数人で1割くらい」だったという。(矢田幸己)

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コメント

  • 言語の授業とかならまだOKだと思いますが、この件については意図的に子供たちのアイデンティティを上書きしようとしている感じがして嫌ですね。

    私も名前の呼び方で色々な所でマウンティングされるので、気持ちは良く分かります。

    良く思い出すのはアメリカの大学に入る際に入学の手続きの時に大勢の前で「テッドでいいよね?」と言われ、その場のプレッシャーで「はい」と言ってしまいました。それまでは「セオ」で通ってたんですが、あのイベンドのせいで大学にいる間はテッドで定着してしまい、大学の知り合いの多くは就職後も同じ業界に居たりしたので「テッド」が定着してしまいました。

    日本に戻ると苗字で呼ぶ人と「テッド」と呼ぶ人が混在して困ったりします。私から「テッドと呼んで下さい」と言っても苗字で呼ぶので…

    多少問題は違いますが、好きな名前で呼ばれたい気持ちは尊重して欲しいと常日ごろ感じてます。

    2:07 PM テッド
    • テッドさん

      あ、本当はセオさんと書くべきなのかな。。

      コメントありがとうございます。やっぱり名前に関しては「本人の意思」が大事ですよね。ここをまず確認してほしいですよね★サンドラ★

      2:43 PM サンドラ・ヘフェリン

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