ハーフはみんなリッチ?庶民ハーフの叫び(日独ハーフの視点9)

2010.6.9

ハーフはバイリンガルのはず」、「ハーフは可愛いはず」などハーフは色んなイメージを持たれてしまっていることを以前書きました。でもそれ以外にも世間がハーフに対して持っているイメージがあります。それは「ハーフ=お嬢様」っていうイメージ!

世間には「ハーフ=お嬢様」っていうイメージが浸透しちゃってるみたいです。確かにテレビに出てくるハーフは「お嬢様」が多い。タレントの森泉ちゃんなんかは「おばあさまが、森英恵」というお嬢様ハーフの典型だし、滝川クリステルさんも恵まれた環境に育った印象を受けるし、マリエは超リッチらしいし、梅宮アンナもブランドの匂いがする。テレビでは何かとリッチなお嬢様ハーフが紹介されがちです。「世界バリバリ☆バリュー」にも豪邸に住むお嬢様ハーフが紹介されていましたね。おかげでそれを見ている人は「ハーフはみんなお嬢様なんでしょ」と思っちゃうことも多いみたい。その結果、庶民ハーフは困ってます。

特に団塊の世代は「日本とドイツのハーフ」と聞くと「あ、お嬢様だ」と思っちゃうことが多いみたい。現に私も、とてもかしこまった場で自己紹介をした後に、「お父様がドイツ人ですか?」と聞かれ「はい、そうです」と答えた途端に「やっぱり外交官か何かですか?」と聞かれたり (ちなみにウチは庶民派なので外交官ではありません) 。ドイツと日本のハーフというと「音楽」とすぐに結び付けられることも多く「サンドラさんは何歳からピアノをやってたんですか?」と聞かれたりします (ピアノは習ったこと、ありません) 。

あとは「シェパード飼ってそう」はまだいいとして、「ドイツではお城に住んでたんですかぁ?」とか、冗談だとは思いますけどね。もちろん、お城に住んだことは一度もございません。

ドイツと日本のハーフに限らず、他の欧米の国と日本のハーフも「プール付きの家に住んでそう」とか色々想像で言われちゃったりして大変みたい。

こういう発想はけっこう知識層にも広まっていて、東大卒の団塊世代のある国立大学の教授は、生活費と学費を全部自分で捻出していた、イタリアと日本のハーフの女学生に対して「え? キミは全部自分で出してるの? 君はイタリアだっていうから、裕福なところのお嬢さんかと思った」と言ったらしい。その学生は「イタリアは国自体が昔っから破産寸前なのに、どこから『裕福』『お嬢様』って発想が出てくるのかが分からない! 日本の戦後の『欧米=みんな裕福』みたいな完全な欧米コンプレックスなんじゃないの?!」と怒ってました。

今、日本は格差社会だと言われているけど、ハーフもぶっちゃけ格差社会そのものです。むしろハーフの場合、その差がハッキリ出やすい、二極化しやすい傾向があるんじゃないかな。つまり、ハーフの中には本当に「お父様は外交官で、お母様はピアニスト、学校はずっと日本&外国の私立校、日本語・ドイツ語・英語がペラペラのトライリンガル。楽器はピアノとバイオリンができます」という家庭環境によって教育も何もかも保障されているハーフがいる一方、「お父さんは私が生まれる前にどっかに行っちゃって、お母さんはずっとスナックで生計を支えてきた、学校は地元の公立校、言葉は日本語のみで英語やそのほかの外国語はできない」というように生まれながらにして人生の厳しさに直面し、強く生きていかなければならないハーフも大勢います。

なので「ハーフ⇒バリバリ☆バリュー⇒お嬢様」なんて構図は、想像している側は楽しいですが、それに該当しないハーフからしてみたら酷な話なんであります。聞かれるたびに「いえ、ウチにプールはありません、いえグランドピアノもありません」なんて答えなきゃいけないからさ。大変。なんだかこっちが悪いみたいな気持ちにさせられるしさ。ご期待にそえずにすみませーん、みたいな(笑)

もちろん格差はどこにでもあるもので、ハーフに限ったことではないのだけれど、生まれがお嬢様なハーフは将来バイリンガルやトライリンガルになる確率が高いし、イジメに遭う確率も比較的少ない、と私は見ている。実際、私立のアメリカンスクールやドイツ学園より日本の公立小学校のほうがハーフがイジメに遭う確率が高い。私立校であるドイツ学園やアメリカンスクールにイジメがないとは言いませんが、少なくともクラスの大半の生粋日本人に「やーいお前ガイジンだろー」と言われてしまうようなイジメはありません。何せ日本のドイツ学園やアメリカンスクールにはハーフがわんさかいるのですから、そこではハーフが「少数派」でない事だけは確かです。でも日本の公立校に通うと「ハーフ」は少数派になってしまうので、この手のイジメのターゲットになる確率が高くなる、という事です。私は日本の公立小学校に通いイジメに遭わなかったハーフを知りません。少なくても私の世代では。が、イジメについてはまた別の回で改めてじっくり書いていきます。ハーフとイジメは切り離せないテーマですので…ね。

困ったことに、日本の公立校に通っているハーフに対して周りは普通に「ジェニファーちゃんは、どうしてアメリカンスクールに通わないの?!」なんて聞いてくるんですよね。「インターは高いので…」なんて答えられる訳ないのに。

ハーフにも広がっている格差。世の中が二極化しているように、ハーフも二極化しているのが現実です。私はよく雑誌の『SPA!』を読むのですが、この雑誌に一時期よく出ていた「下流」と「上流」にのっとって、そのうち「上流ハーフ」とか「下流ハーフ」みたいな俗語ができたらどうしよう、と思う今日この頃です。

ちなみにミュンヘン出身のピアニストで日独ハーフのアリス紗良オットさんは私から見るとお嬢様ハーフですが、面識はないもののその才能、精神力、美貌にすごい!! って私は勝手に応援していたりします。

以上ドイツのお城に住んでいないサンドラの独り言でした。

                                     サンドラ・ヘフェリン

コメント

  • これも、「ふーん、日本ではハーフってそういうイメージなのね」という感じです。ヨーロッパではお城と言うと、大体が世界遺産化重要文化財。昔の王族のもので、今では人が住んでいるところは限られていると思いますよ。
    私が見た限り、欧米で「お嬢様ハーフ」はごく一部。あとは庶民ハーフがほとんどです。なので日本人が抱く上記のイメージは私には全くありません。
    私たちだってサラリーマンで庶民の典型です。今は庶民ハーフのほうがずっと多い気がするし、芸能界に多いお嬢様ハーフ、というのも、本当の意味のお嬢様はごく一部で、ほとんどはショービズのためにストーリーを作っている気がするのは私だけ??(夢を壊しちゃったらごめんなさい)

    11:32 PM Jannat
    • Jannatさん、お嬢様ハーフも現実にいないわけじゃないし(現に東京にある外国人学校、たとえばドイツ学園やリセ・フランセには経済的に豊かな家庭の子が多く通う。学費も安くないため。)、いわゆる絵に書いたようなお嬢様(ピアノ・プール、語学の家庭教師など)も実際にいるけど、それと同じぐらいに、いえそれ以上庶民派ハーフも多いということですね。けっこう国によって、こうお嬢様のイメージを持たれちゃったり、というのはあると思います。あ、フランスだからお嬢様なのかな、とかね。まあ所謂古い考え方だとは思いますが。ちとばかり欧米コンプレックス入ってますね、こういう場合は。お嬢様ハーフとか庶民ハーフとか、どっちもいるわけだけれど、やっぱり辛いのは庶民系の人が「え?プールないの?」みたいな感じのことを言われることかな。「外国だから●●だと思ってた!」と無邪気に言う人がいるけど、その●●がそういうキャンディキャンディ(知ってます?)系の妄想(⇒外国の人はみんなお城に住むとか)だと、困惑しちゃいますね。キャンディキャンディ、知らなかったらおしえてください^^★サンドラ★

      1:12 AM サンドラ・ヘフェリン
  • キャンディキャンディは歌と名前だけは知っています。あれってお城に住んでいるんですね~。(いまさら)
    これも不思議で同時にむかつく(失礼)ことでもありますが、アジアの事情をよく知らない人達は、アジア系=貧しい人達、と考える人がすっごく多い!恐らくうちの娘は「お金持ち」の印象が薄いんだろうな。
    うちのパパは、日本では庶民ですが、バングラデシュでは生活の苦労を全く経験せずに育ったので、貧しい国だと考えたこともなかったそうです。日本に来て、「貧しいバングラデシュ」のイメージのスラムなどの映像が流れて、逆にショックを受けたくらいです(苦笑)。

    8:47 PM Jannat
    • Jannatさんの旦那さんは逆に日本のバングラデシュの映像でショック受けたんですね。キャンディキャンディの話は私、自分でふっておきながら、やっぱり詳しい登場人物は記憶があいまいかも(笑)でもなんだかあの漫画はお城のシーンやお城の絵が多かったぞ★サンドラ★

      9:19 PM サンドラ・ヘフェリン

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