興味深い!~An Open Letter to Japanese People from Black Men (日本人の皆さんへの黒人からの手紙)

2015.7.26

先日インターネット上にアップされたAn Open Letter to Japanese People from Black Men (日本人の皆んなさんへの黒人からの手紙) が興味深い。

私は黒人ではないので想像するしかありませんが、読んでいて「あ~、そうなんだろうな~」と思う事がいっぱいです。ユーモラスなタッチで書かれていますので、まだ読まれていない方、読んでみてくださいね。日本語版は、リンクを下のほうにスクロールすると読めます。

さて、この手紙を読んだ個人的な感想を書かせてもらうと・・・

3番の

>オバマやボビー、その他あなたが片手で数えられる位しか知らない黒人有名人に似ていると言わないこと。似ていない場合がほとんどです。

には笑いました。と同時に、会う人会う人に「ボビー・オロゴンに似てる!」「オバマみたい!」と言われる人の心労に同情を禁じ得ません。白人×日本人のハーフの女性が似てもいないのに「ベッキーみたい!」と言われるのと少し似ているかもしれませんね。Facebookでテオさんという方が「実際にあまり接触した事が無い人種の人を相手にすると細かい違いを把握出来るまで時間が掛かってしまうのは何等かの生物学的なメカニズムがあるのかも知れませんね。アジア系の人との接触が少ないと全員が中国人に見えてしまうとか、そう言う偏見も海外では良く見ますから。」とコメントしていましたが、これは本当にそうでして、その事を自覚することが大事なのかもしれない、なんて思いました。つまり、黒人を前にしたとき、「あなたオバマに似てる!」となるのではなく、「あ、私/僕には黒人はみんなオバマに見えてしまうんだな・・・。」と自覚することですね。

8番の

>黒人になりたいと言わないこと。褒め言葉ではありません。あなたは黒人ではないし、黒人には一生なれないし、しかも黒人になりたい理由がおバカで子供っぽいことが多い。黒人は、内なるリズムやスピリチュアリティを持って生まれた特別な人間ではありません。お願いですから自分のことを愛してください。

もドキッとさせられますね。その人の立場はその人にしか「実感」としてわからないことも多いので、褒めたつもりでも安易に「あなたのようになりたい!」と言わないほうがいいのかもしれません。恐縮ですが、こちらのホームページ「ハーフを考えよう」は、『ハーフ』について色々考えるサイトですので、勝手に比較させていただくと、「ハーフになりたい!」と言っている人も、実はハーフの苦労を分かった上で言っているわけではないことが多いので、けっきょく言ったほうと言われたほうでは、話が噛み合わなくなることが少なくないのですが、それと少しだけ似ているかもしれません。

21番の

>黒人は貧乏だと決めつけないこと。あなたが無知なだけ。テレビを消して。

および22番の

>アフリカ人は皆飢餓で苦しみ、救いを求めていると決めつけないこと。あなたが無知なだけ。

に関しては、恥ずかしながら私のもう一つの母国ドイツでもそういった思い込みは多いので、いろいろと考えさせられます。ひとつ思うのは、ドイツを含むヨーロッパ(日本もですが)で電車の中などに貼られている「飢餓対策のポスター」(世界では何秒に一人、子供が飢餓で死んでいます・・・と訴えかけるポスター)には黒人の子供の写真が使われていることが多く、それがこういった「思い込み」につながるのではないかと思っています。「アフリカ」で飢餓に苦しんでいる「黒人」の子供が沢山いることも勿論事実なのだけれども、かといって世界には我々と同様に食べ物に困っておらず経済的にも困惑していない黒人も沢山いるので、そのあたりを忘れてしまうと、(黒人に対して)「勝手に上から目線」になってしまうのですね。
 
そして
 
30番の
 
>アフリカを国とみなしたり、アフリカ大陸と国との対比をしないこと(例:アフリカと日本の対比など)。アフリカ大陸には54ヵ国と2000以上の民族と言語が存在します。あなたが無知なだけ。
 
も、本当にそうですよね。。。「アフリカ」と言っても、南アフリカからエジプトまで、いってみれば全部「アフリカ」ですし、ひとくくりすることに無理があるのはもちろん、アフリカはそもそも「国」ではないですからねえ~。。
 
最後になりましたが36番の

>黒人の肌の色をチョコレートやその他の黒っぽいモノに例えないこと。

に関しても、ドイツで、ドイツの雰囲気を感じとりながら育った私としては「うん、うん」とうなずいてしまいました。まさにドイツでこそ黒人の肌がチョコレート(Schokolade)にたとえられることは少なくないですし、同様にドイツでは東洋人、たとえば日本人の目の形も「アーモンドみたい!」(”Mandelaugen”)とアーモンドにたとえられたりします。悪気はないことが多い(むしろ褒めている)のですが、そもそも人様の容姿に安易にコメントすることが言われたほうとしては何気に「上から目線」と感じることも多いのですね。

なので、人様の容姿、とくにそれが自分とは違う見た目をした人だったり、自分とは違う人種の人の容姿の場合、そこはアレコレ分析やコメントは控えるのはもちろん、もっと言うと、「スルー力」(スルーする力)が求められるのかもしれません。

この「スルー力」(スルーする力)とは — 上に書いたように「自分があまり直に見たことのない人種の人と会った時」、人は色々と気をきかせようと思い、あれこれ言いたくなるわけですが(「誰々に似てる」「チョコレートみたい」) — そもそも見た目の違いをあまり気にとめないことです。「パッと見の違い」をとくに気にとめず、良い意味でスルーしちゃう人が、いい意味で天然ボケというか本当の意味での「国際力」を発揮できる人なのかもしれません。国際的な感覚の持ち主ですね。

というわけで、この問題、キーワードは「スルー力」(スルーする力)にあるのかもしれません。パッと見て珍しい見た目の人を前にした時、その珍しさと新鮮さから色々コメントしたくなるのはわからないでもないですけど、「まあでも所詮見た目の話だしな」と上手い具合でスルーできれば、誰も不愉快な思いをせずに済むかも!

よい意味でのスルー。大事かもしれません。

サンドラ・ヘフェリン

コメント

  • Hi Sandra! Thanks for linking to the article, sharing it with your readers and your great comments above!

    Baye!

    2:33 AM Baye
    • Dear Baye! Thank YOU. I will also check your past articles on your blog. Sandra

      9:41 AM サンドラ・ヘフェリン
  • このOpen Letter,よくわかります!うちも結構な頻度であります。
    うちの旦那さんもバングラデシュが経済的に右肩上がりになる前は「バングラデシュで貧しい生活をしていた人」という先入観を持たれたことがあります。
    うちの娘が2歳の時も、娘のクルクルヘアーを見た小学生の男の子から「ねえ、この子のパパって黒人?」と聞かれたことがあります。「ううん、パパは黒人じゃなくてバングラデシュ人だよ」と教えてあげると、その子の顔から「????」がいつまでも消えませんでした ^^; 今考えると困らせちゃったかな、と思うのですが、見た目と国籍は一致しない、ということを分かってもらえたかな!?と思っています ^^;

    娘は今、小学生ですが、うちのパパを見ているからか、モスクでハーフや外国人の子供達と遊んでいて慣れてしまったのか、人を見た目で判断していません。先入観がない分、子供のほうが大人よりも早く慣れてしまうのかもしれません。

    1:17 PM Jannat
    • Jannatさん
       
      エピソードを書いてくださって、ありがとう!
       
      >うちの娘が2歳の時も、娘のクルクルヘアーを見た小学生の男の子から「ねえ、この子のパパって黒人?」と聞かれたことがあります。「ううん、パパは黒人じゃなくてバングラデシュ人だよ」と教えてあげると、その子の顔から「????」がいつまでも消えませんでした ^^; 今考えると困らせちゃったかな、と思うのですが、見た目と国籍は一致しない、ということを分かってもらえたかな!?と思っています ^^;
       
      ↑そうですよね。
       
      思うのは、子供のうちに「ねえ、黒人なの?」とか「なんで肌が黒いの?」と質問するのは自然というか許される気がするのです。大人がちゃんと、子供に分かるように説明を(何回でも)してあげれば、大人になってから失礼な質問をせずに済むかと(笑)

      以前、日本の小学校で国際理解を深めるための活動をしていたコンゴ人(黒人)の先生がいたのですが、「先生に聞いてみたいこと!」と、小学生(ひとクラス30人)に紙に書かせたところ、その(黒人の)先生のところにまわってきた紙が5枚少なかったんだそうです。生徒の数からして30枚あるハズなのに、25枚しかない。それで不審に思い、同僚の日本人の先生に「紙が足りない」ことを伝えたところ、日本人の先生から「生徒から『先生はなぜ黒いの?』という質問が紙に書いてあったため、その質問に関しては先生に対して失礼かと思い、紙を開示しなかったんです。それが5枚だったんです、すみません・・・」と謝られたんだそう。気を遣っての行動だったのでしょうけど、その黒人の先生は「肌の色について質問して&答える(説明する)良い機会だったのに。子供に聞かれても怒ったり悲しくなるわけないのに。子供のうちに答えてあげないと、大人になってからじゃ遅いし・・・」と言っていたのが印象的でした。たしかにそうなんですよね。。★サンドラ★

      5:04 PM サンドラ・ヘフェリン

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です